今回は2013年8月1日放送「荒川強啓デイ・キャッチ!」
「デイキャッチャーズ・ボイス」山田五郎さんの回を
起こします
山田
今、朝日新聞で「いま子どもたちは」っていう連載があって
それが最近が「男装・女装」のことを・・
「男装女子」とかいるでしょ?
強啓
特集してますね。
山田
それに関連して朝日新聞デジタルの方でね、男装は華やかだって認められるのに、
女装の方はなかなか社会に受け入れられないのはなんでだ?っていう
記事があったんですよ。
で、性社会史がご専門の明治大学の講師の三橋先生っていう方がね
男社会の中で男装は女性が男のように
社会の役に立とうとするから評価されるけれども
女装はね、女性より価値のある存在として生まれながら
その社会的役割を放棄する役立たずだから否定されるんだというふうに
説明されてるんですよね。
確かにそういう側面もあるんだろうけれども
僕はそれだけはないと思うんですよ。
世の中で女性のズボンがOKなのに、
男性のスカートが変な目で見られるっていう
この背景には単なる男社会論だけじゃない実に根深い問題が隠されとると
常々言ってんですけどね、あまり相手にされないんで
今日また言ってみようと思うんですけども(笑)
三橋先生もこの記事の中でご指摘されてるんですけども
江戸時代までの日本では武家社会はまぁ別として
一般庶民の間では男装とか女装がとやかく言われること自体が無かったっていう・・
強啓
まぁ着物ですからね。
山田
そうなんですよ!!
これ、男装・女装が話題になるのは明治以降、洋服が入ってきてからなんですよ。
つまり問題はこの洋服ってやつにあるんですよ!
僕ら普段意識してないんですけども、
洋服ってのはね、実は人類史上最も性差別的な服飾体系なんですよ!
こんな変わった服飾体系世の中に無いんですよ!
ベースとしてあるのは、男はズボンで地味な色
女はスカートで華やかな色柄ってのがベースとしてなんかありますよね?
性別で着るものがここまで違うっていうようなシステムって
考えてみたどこも無いですよ!
さっき言ったように例えば日本の着物
これ男物・女物あるけど着物の構造は同じでしょ?
こうやって巻き付けるスカート型の服ですよね。
それから西洋だってマンガの「テルマエ・ロマエ」の時代見ると
ローマ時代とかは男も女も同じスカート型の服着てるんですよ。
片桐
布巻いてる感じですよね。
山田
一方例えばペルシャとかモンゴルとか騎馬民族なんかだと
男も女も両方ズボンはいてたりするわけですよ。
だからズボンかスカートかみたいなことっていうのは
気候風土とか生活様式に関わる問題であって
性別によるものではないってのが普通なんですよね。
それから一方、地味か派手か?っていう問題に関してなんですけども
これはあの・・昔の西洋の王様とか日本の殿様とか見れば分かるように
貴族階級っていうのは男女関係なく派手な服着てるんですよ。
で、労働者階級っていうのは男女関係なく地味な格好してるんですよ。
つまり派手か地味か?に関してっていうのは、
階級に関係することであって性別のことじゃないんですよね!
だから気候とか仕事とか地位とかに関係なく
男女でこれほど着るものが違うっていう服飾体系って
人類史上この洋服ってのしか無いんですよ!!
強啓
いつごろから変わったのかな?
山田
そこなんです!これ・・まぁ19世紀からなんですけどもね。
例えばルイ14世のころの絵とか見れば分かるように、
西洋でも昔の貴族階級は男でも派手なスカート型の衣服着て・・
強啓
ちょうちんみたいな・・。
山田
ちょうちんブルマみたいなのね。
まぁ男は脚線美を競ってたんですけどね。
長髪だったりとかしますよね。
だけど男はズボンで地味で、女はスカートで華やかっていうような
そういうようなのが生まれたのは実はフランス革命以後
19世紀に入ってからなんですよ。
どうしてそうなったか?ってこれを説明すると長くなるんで
まあ省いて結果だけ言いますとね。
要するにそれまでの西洋社会では労働者階級の服だった
地味なズボンっていうのを男子が受け持ったんですよ。
で、貴族階級の服だった派手なスカートっていうのを
女性が受け持ったっていう、こういう構造。
それまで階級の構図だったのを性別の構図に組み替えたのが
洋服というシステムなんですよね。
市民革命の結果、その階級社会っていうのが崩れて行く中で
それまで階級の違いを表していた服装の違いが
性別の違いを表すものになっていったんですよ。
強啓
誰だ!そんなことしたのは!
山田
男なんですよ!
このシステム作ったのは、三橋先生もおっしゃってるように
男社会が作ったシステムなんですよ。
じゃあ男はなんで自分が主導権を握ってたのに
かつての貴族階級じゃなくて労働者階級の方をとったの?っていう・・
片桐
地味な方を。
山田
地味な方をなんで好き好んで取ったのか?っていうことなんですけどね。
これやっぱりね、市民革命その他によって価値観の180度転換が起きてるんですよ。
それはどういうことか?っていうと。
東洋でも西洋でもね、昔は支配者階級は働かなかったわけですよ。
逆に言うと働かないでいいっていうことが社会的地位の高さを
証明することだったわけですよね?
だから貴族階級の服っていうのは基本的に動きにくかったりとか
派手な飾りが多かったりとか,まぁ日本の十二単とかね。
殿様の格好とか見ても分かるように
如何に労働に向いていない格好をしてるか?っていうことが
その階級の高さを表すものだったわけですよ。
ところが市民革命後の西洋の近代社会は
「働く人の方が偉い」っていうこの価値観の180度転換が起きてるんですよ。
その結果、やっぱり地味で働きやすい服の方が
地位の象徴になっていくんですよね。
だけど一方でそうは言っても自分を飾りたいっていう
この欲求っていうのは人類にとって本能的な欲求なんで出てくるわけですよ。
それをどうするか?ってなった時に
そこで男の人は女の人に古い価値観を押しつけて
自分の奥さんとか娘とか愛人とかを飾ることで
その自分の装飾欲を満足させようとしたっていう・・
これアメリカの社会学者のソースタイン・ヴェブレンっていう人が
「代替消費」って代わりにそこで使うっていう意味で言ってるんですけどね。
その結果どんどんどんどん男は地味になって
どんどんどんどん女は派手になるっていう
分裂が進んでいっちゃったわけですよね。
だから「男装・女装」っていうのが話題になり
ここまで男女の服装が違うシステムだからこそ
「男装・女装」が問題になるわけなんですよ。
そうやって女の人に古い価値観を押しつけたから
女の人のズボンを禁じる法律っていうのは実はいっぱいあるんですよ。
これ驚くべきことにパリ市では1800年以来
公の場で女の人がズボンをはくことはずーっと条例違反だったんですよ。
強啓
今も!?
山田
これが今年の2月に「あの条例はどうなの?」っていうのが話題になって
現在の憲法上無効であるっていうのが出されたのが実に今年の2月ですよ。
2013年2月!
強啓
今年!!
山田
それまでだからずーっと実は条例違反だった。
そういう法律はフランスだけじゃなくてアメリカでもいっぱいあるの。
だけど法律で禁止したにも関わらず女の人のズボンって今普通になりましたでしょ?
強啓
そうですよね。
山田
一方、男のスカートっていうのは法律で禁止されたこともないし
むしろファッション界では何年かに一度必ず提案されるんだけど
未だに定着しないんですよ。
それはなんでか?って言うと、やっぱり西洋的な近代社会の根底に
「働く方が偉い」っていうね、ある種の禁欲的な価値観が
根強く残ってるからだと思うんですよ。
だからその働かない人側から働く人側に向かう女の人のズボンっていうのは
なんだかんだ言ってOKになっちゃうんだけども。
働く人側から働かない人側に行く男のスカート化っていうのは
なかなか上手くいかないんですよね。
この「働く人の方が偉い」っていう価値観
これ文句なしに素晴らしいことのように思えますでしょう?
だけどこういうふうに考えてみると、服のことだけじゃなくってね
さまざまな場所で意外に男女不平等の原因になってるような気がするんですよ。
例えば、男が育休取りにくい問題とか
これなんかもやっぱり「働く人の方が偉い」価値観っていうのが
大本をたどっていくとやっぱりそれが効いてきてるんですよね。
だから「働かないことの価値」っていうものを・・
強啓
ヘヘヘヘヘ(笑)
山田
やっぱりそう言うと皆にそう言われちゃうんですけど
それはね僕らが今それほど「働く方が偉い」価値観に支配されてるからだと思いますよ。
基本的に人間、今が幸せだったら明日も今日と同じでいいはずなんですよ。
明日が絶対今日より儲かんなきゃいけないっていう
ステムの方がおかしいっていう
側面もあるわけで、その辺を見直して・・
もし男のスカートが女のズボンぐらい普通になれば
そのときに僕は真の男女平等が実現するんじゃないかと。
ちょっと「働かないこと」の価値っていうことを
見直してみる必要あるんじゃないかな?って思いますけどね。
スカートでもはいて(笑)
どうですか強啓さん一緒に?
強啓
いやーちょっと・・。
山田
一緒にスカートはいてブラブラしてみませんか?
強啓
もうあと15年くらい先・・。
片桐
15年経ったらやるんですか!!
強啓
だってボケてるよ、もう!
(了)
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