今回は2015年2月2日放送「大竹まことゴールデンラジオ!」
「大竹メインディッシュ」水無田気流さんの回を
起こしたいと思います。
大竹
ようこそ、いらっしゃいました。
水無田気流さん、水の無い田の気流。
とても素敵なお名前ですけども。
水無田
ありがとうございます。
大竹
どんなふうにしてこのお名前は付いたんですか?
水無田
あっ、本名がものすごい平凡な名前なんでですね
詩の筆名を考えるときにうんと変な名前にしようと思ったんですね。
本名、田中理恵子っていうんですよ(笑)
大竹
良い名前じゃないですか!
水無田
いや、田中理恵子ってどうかな?と思って検索を
自分の名前をエゴサーチしてみたところですね。
早稲田に仏教美術を研究されている田中理恵子先生と
それから京都大学で微生物を研究されている田中理恵子先生がいて
それから冷蔵庫が当たった田中理恵子さんがいて、
交通事故で亡くなった田中理恵子さんが出て来て
「あっ、こりゃダメだ」と思って変な筆名にしようと
要するに私に興味を持って下さった方が私について検索をしたときに
私にたどり着けるようにと思ったんですね。
大竹
あの冷蔵庫当たった人じゃない人にたどり着けるように。
水無田
そうですね、「水無田」っていうのは本名・田中の田と
それから中原中也の「蝉」っていう詩がすごく好きで
「昔中国の水無河原という」っていう
一説が好きだったのでそれをくっつけたんですね。
で、「気流」の方は元々カタカナで「キリウ」ってしてたんですけど
松尾芭蕉の「蕉風俳諧」で「不易流行」っていう蕉風の概念があるんですけど
・・すごく好きなんですけど
大竹
「不易流行」ってどういう意味ですか?
水無田
要するにあらゆるものが流転していく流れていくことこそが
物事の本性であるっていうすごく難しいけれども
阿川
福岡先生の「動的平衡」、あれと同じですよね。
水無田
あっ、近いかもしれないです。
で「不易」にするとお坊さんみたいじゃないですか?
「流行」ってすると萩原流行さんみたいなんで
真ん中をとって「気流」ってして当て字したんです。
大竹
いつごろからこのお名前を使っていらっしゃるんですか?
水無田
2003年からですかね?
大竹
そんなに前じゃないですね。
阿川
でもお名前だけ伺うと男性と間違えられたりすることないですか?
水無田
はい、しょっちゅうです。
50代ぐらいの男性から「いやー流石はエッセイを読んで女性経験豊富な
自分より年配の方とお見受けしました」とか(笑)
大竹
じゃあそのご自分の目論みからはちょっとズレた?
水無田
うん、かなりズレてますね(笑)
困ってますけど、少しそれは。
大竹
社会学者でいらっしゃいますけれども。
詩で中原中也賞をお取りになってそのときに高橋源一郎さんが
「Fさんの詩には明らかに欠陥がある。詩を何年何十年書いてきた人が
書かないようにヘンテコなフレーズがある。
この人は要するに『詩の初心者』なのだ。だから読みながらドキドキする
でもちゃんとこちらを観ている。
この人の詩はいつも想定の範囲外なのだ」というふうに
お褒めの言葉がありますが、途中ちょっと端折りました、すいません。
水無田
あのー、直喩「○○のように」とかっていうそういう古い使い方が
割と現代詩だったらあまり使わないような使い方もやってるし、
そこがすごくでも一方で選んでいる言葉が今日的な事柄を使っていたりで
何ていうんですかね?三振かホームランだっていうふうなことを
源一郎先生には仰っていただいたんですよね。
まあ私の詩ってはっきり言うと上手くない詩なんですよね。
90年代ぐらいの現代詩ってすごく日本の現代詩でも上手い時代なんですよ。
でもその詩としての美しさが先立ってしまって、
一般の読者が何か引っ掛かりどころが、言い方は悪いんですけれども
無くなったかな?と。
私なんか読むとすごく美しいと思うんですけど、
一方で洗練されすぎた時期だったので、だから敢えてこういう
私みたいな下手くそなのが選ばれたっていうのは
やっぱり詩の業界が少し変化を求めていた時期に
ちょうど上手くぶつかったのかな?と。
阿川
ご自身は詩はいつごろから作り始めて・・?
水無田
小学生のときからもう同人誌作って、
小説書いたり詩を書いたりしてたんですよ。
阿川
何をきっかけに詩に興味を持たれたんですか?
水無田
ん?何ででしょうね?
気がついたら書いてましたが、小学生のときは。
本がとにかく好きで毎日のようにとにかく・・
毎日1日2冊までしか図書室から借りれなかったんで
2冊借りて、2冊その日に読んで翌日返してたんですよ。
毎日、もう選ぶの面倒臭いんで今年はこの棚!っつって
全部読んだりとかして。
阿川
じゃあジャンルを問わず?
水無田
そうですね、でもその2冊すぐ読み終わっちゃうんで
辞書とか読んでて。
大竹
ちょっと待って、それ途中でこの本つまらないとか
この本難しいとか挫折はしないんですか?
2冊決めたときに。
水無田
考えたら無いですね、小学校の図書室くらいですから。
阿川
でも面白いとか面白くないとか?
水無田
面白い面白くないっていうのもあるんですけど、
それ以上になんかこう本の中に浸っているのが
すごく好きだったんですよね。
阿川
活字を追っていること自体が幸せ。
水無田
でもう帰るときとかも待ちきれなくて読みながら歩いてて
二宮金次郎さんみたいになってて、のどかな相模原出身なんですけど
とはいえ畑だらけで、気がついたら菜の花畑の真ん中立ってたりとか
気がついたら肥溜めに落ちていたりとか、
阿川
いやー本当に二宮金次郎だ。
水無田
ちょっと車とかが少なくて良かったかなと思って。
阿川
本当ね、交通事故に遭いますよ。
大竹
ちょっと下界から遠いところにいる感じがするけれども。
そういうわけじゃないんですか?
阿川
他のことで遊んだり、走り回ったりということは?
缶蹴りするとか?
水無田
で、本ばっかり読んでたんでうちの母がすごい心配をして
「お前は子どもらしくはつらつとしていなさい」っていつも怒られて
母はママさんソフトをやってまして
近所の少女ソフトボールチームの鬼コーチだったので
ソフトボールチームに入れられて、もう星一徹みたいな母だったんですよ(笑)
阿川
お母さん体育会系なんだ!
水無田
そうなんです、で毎日シートノック受けたり走り込みしたりしてて
それでもう本がどうしても読みたいじゃないですか?
借りてきた本を懐中電灯持って押し入れに隠れて読んでると
「練習に行こう」って母から言われるのを小っちゃくなって隠れてたら
見つかって襖開けそうになるので押し入れの中からこうやって一生懸命
内側から襖を押さえていると襖ごとベリっと剥がして
飛ばしてっていう母だったんで、なんか・・
大竹
お父様はそういうことに口出しは出来ない?
水無田
まあ父は仕事人間だったんで、良い父ではあったんですけど
基本的に・・あのほら早く帰って来たりとかじゃなくて
普通のサラリーマンだったんで。
大竹
そういう現場には立ち会ってないわけ?
阿川
お母さん孤軍奮闘してらしたのね、娘をもっと体鍛えようと。
大竹
襖剥がされてね・・裏側に隠れているのに連れて行かれちゃった日にはね・・。
阿川
お母さんは詩については?
水無田
うちで文芸誌読んでいるのは私だけでしたね。
阿川
どういう突然変異なんですか?
大竹
なんでそんなに好きなんですかね?
水無田
分からないです(笑)
阿川
その家の子じゃないとか思わなかった?
水無田
時々考えましたね、なんか空の向こうに本当の親がいてみたいなことを(笑)
大竹
こんなスポーツやるのは私の親じゃない!と。
水無田
でもなんかそのおかげで手首とかは鍛えられたおかげで
高校時代に痴漢とか捕まえたりとかそういうことには役だったんですけどね。
まあそれぐらいですね(笑)
阿川
そういう運動神経には恵まれたわけですよね。
大竹
でもまた痴漢をそういうのを捕まえるっていうのは、
もうちょっと能動的なことじゃないですか?
まあその手首も強かったんでしょうけども。
水無田
毎日砂入れたビール瓶振っていたんですよ。
大竹
はっ!?
水無田
あの砂を入れたビール瓶の小瓶を手首で・・ラジオだから見えないですね。
振って顔の真ん中で止めるっていうのを毎日やっていたので。
大竹
北進一刀流みたいに上から下ろして来て顔の真ん中でピタっと。
砂の入ったビール瓶を。
水無田
あと「タイヤ打ち」っていうのもやってて、
タイヤを真芯で捉える感覚を覚えるために近所の空き地に
チェーンで吊したタイヤを金属バットで毎日打ってたんですね。
阿川
お母さん何なの!?
水無田
母が私を何にしたかったのか?は未だに分からないです。
大竹
タイヤを真芯で捉えると音が違うんですか?どうなの?
水無田
音が違います。
大竹
真芯の音がするわけ?(笑)
水無田
未だにだから趣味でバッティングセンターには通ってるんですけど。
大竹
バッティングセンターはそのときに杵柄でちょっとお好きなんですか?
水無田
あっ好きですね。
大竹
やっぱり芯でとらえるのが(笑)
水無田
でも母に命じられたバッティングフォーム改造が果たせなかったのがね・・。
大竹
母はどういうバッティングフォームの改造を?
水無田
あのちょっとね体重の軸がブレるんで一本足にしようとしてたんですよ、私を。
大竹
王貞治みたいな。
水無田
ところがやっぱりダメだったんですけど、最近気がついて
オープンスタンスにすればいいっていうことに気がついて・・
阿川
この人何だ!(笑)
水無田
母が私が大学卒業してすぐ交通事故で亡くなっちゃって。
だからなんかその命令が果たせずに・・
大学院生時代にストレスが溜まるとよくバッティングセンター通ってて
ふとオープンスタンスにしたら、だからもう30歳過ぎたぐらいですかね?
「あっ、お母さんが言っていたのはこれだ!」と思って
星飛雄馬だったら「父ちゃん俺はやったぜ!」って感じで
亡くなってからしばらくしてからですね。
大竹
オープンスタンスに気がついたのが。
水無田
はい、体重移動の問題だったんだなと思って。
大竹
右の方にちょっと流し打つ感じ?
水無田
ああ、流し打ちがね・・なんか私ね妊娠に気がついたのが
パワプロで流し打ちしたときだったんですよね。
私、長男いるんですけど「パワフルプロ野球」っていうゲーム知ってます?
私そのゲームが好きで、要するに野球選手を育てるゲームなんですけど
なんかこんな話してすいませんけど(笑)
すごい正確に出来ているんでバッティングを選手にさせるときにですね。
どう考えてもセンター返しになった当たりがちょっと動体視力が弱っているんで
流し打ちになっちゃうんですよ。
それで「流し打ち○」とかが付いてくるんで
「これ私イチローばりの広角打法が身についた」と
ゲームでもすごいなと思ったんですけど、そしたら妊娠してたんですね。
要するに妊娠すると動体視力がちょっと弱くなるんですよ。
大竹
あっ、そうなの!へえー!
水無田
よくテレビドラマとかでゲーッと吐いて「はっ、これは妊娠!」って
あるじゃないですか?・・じゃなかったんですね。
私の場合は「あれ?動体視力落ちてんな?」が妊娠したのが分かったんで。
大竹
それは何で動体視力が落ちたのが分かったんですか?
水無田
なんかバッティングするときにタイミングが
ちょっと遅れるっていうのがあってね・・。
大竹
それはゲームで気がついたんだ!
水無田
だから「パワプロ」ってよく出来てるなと思って。
大竹
どうしてもセンター返しが出来ないと、理由は何だ!と。
水無田
そうなんですよ、何だろうな?と思って、
「何か体調が変だなあ」と思って病院行ったら妊娠してたっていう。
大竹
これは良いニュースなんですか?悪いニュースなんですか?
水無田
いやどうなんでしょうね?
だけど本当・・だから車の運転とか気をつけられた方が良いですよね。
ほんのちょっとだけですが遅くなりますから。
大竹
分かりました、ちょっと話がずいぶん気流に塗れて行ってしまいましたけど
阿川
今回「シングルマザーと貧困」というご本をお出しになりましたけれども
水無田さんは旦那さまは?
水無田
あっ、普通に結婚しておりまして。
阿川
指輪もすごく豪華なのを。
水無田
あっこれは別にファッションリングです。
まあ夫のプレゼントなんですけれども。
阿川
それでこの本は?
水無田
あの・・シングルマザー問題ってずっと1回取り組みたいなと
思った問題だったんですよ。
阿川
これは社会学者の方の問題で?
水無田
はい、社会学の方なんですけど。
やっぱり雇用の問題と女性の貧困問題って去年すごく話題になって
NHKさんでも特集がされたり、あと子どもの貧困問題ですか?
子どものいる世帯の16%以上が貧困状態にあるとか、
そういう弱者のところにしわ寄せが行ってるぞっていう問題?
女性の貧困問題と、あと働き方問題とそれから家族規範
つまり両親揃っていて、基本的には旦那さんが一家の大黒柱で
奥さんは専業主婦が前提というあり方、
これがやっぱりシングルマザーになっちゃうと一気に厳しくなって
それで貧困にあっという間に陥ってしまうという問題を
もうちょっと検証したかったんで、書いてみたんですね。
大竹
この番組でも何回か取り上げさせていただいてますけども。
母子家庭の平均年収は一般世帯の半分以下。
母子家庭の就労所得は一般家庭の3分の1。
母子家庭の貧困率は50%以上、
養育費を受けたことが無い母子家庭世代は全体の6割も達していると。
もう今の時代、国は政府は家族でこう一緒になって
そこに国が面倒をゆるめ、公助とか共助じゃなくて
自分たちで家族で年寄りの問題まで含めて
自分たちでやっていかなければいけないと。
支えられないところは国がやるんだみたいなことを言ってますけども。
その大本になっている家族っていうものが元々別れちゃえば
当然母子家庭になるわけですよね?
母子家庭になったとき、これもご本人もあると思いますけれども。
父子家庭っていうんですか?男の人と別れて子どもを持ってる家は
もっと政府の援助が受けられないような
「男は働いてんだから」みたいなことで、
援助はもちろん少ないし、それから母子家庭においても
ここから抜け出せない現実的に。
どうやって抜け出したらいいのか分からないっていうのが
今の母子家庭の大問題になっています。
水無田
あのー、まずシングルマザーの貧困問題が見捨てられていることの
大きな要因として自己責任でね、離婚してシングルマザーになったっていう人が
今圧倒的に多数なんですよ。
戦後間もない頃って死別のシングルマザーの方が多かったので
実は日本の婦人福祉っていうか、母子福祉っていうのは基本的には
戦争未亡人を前提にしてたりするんですね。
戦後間もない頃も死別の方が多かったんですが、
80年代に離婚が死別を上回って、今もうシングルマザーに関して言えば
母子世帯の9割が離婚です。
そうすると「好きで勝手に離婚したんだろ」ってなるんですが、
これが結婚ばかりはやっぱりしてみないと分からないですよね。
本当に私この本の中でいろんなシングルマザーのお母さんたちに
聞き取りをしてみたんですけど。
本当に結婚するまでに何年も付き合っててね、
しっかりしたいいところの会社にお勤めのちゃんとした仕事の方で
特に問題なかったように思われたのが
結婚した瞬間に隠れ借金が見つかったりとか、
あとまあ浮気の陰があったりとか、それからDVがあったりとか
もういろんな問題で。
結局、このお母さんたちの話を聞いていると、
離婚を決意したっていうのは要するに父親の存在が子どもにとって
むしろマイナスになると思うと、苦渋の策で離婚するわけですよね。
そこには自己責任だけではもう間に合わない問題がいっぱいあるんですよね。
大竹
しかもあれですよね、そのDV問題も大きく取り上げられていて
要するにいろんな手当が受けたくてもDVが尾を引いているというのか
旦那さんに居場所がバレちゃうと。
だからそのいろんな手当とかそういうのに行っていると
住所も分かっちゃうんで手続きが取れない。
阿川
もう世の中に隠れて生きていくしか無いっていう。
水無田
そうですね、母子寮とかに入ってなんとかみたいなのはありますけれどもね。
そうすると本人が社会的に自活していくっていうことが難しくなってしまいますよね。
大本にはやっぱり家族主義的な社会制度のあり方そのものが
孕む問題があるんですけれども。
この本を書いていてひとつすごい思ったのはですね、
苦労している女性の話を聞こうと思って行くんですけど。
半分くらいは別れた夫の愚痴話で
この国のダメなおっさんのダメ生態について詳しくなる仕事っていう部分があって
ストレスでちょっと私もお話聞くときにはなるべく自分の感情は入れないように
一生懸命聞くんですけど、だんだん回を重ねるごとに
痛い種類のニキビが出来てきたりとかして、やっぱりしんどい仕事ではありました。
阿川
いやダメですよ、感情時々出した方がいいですよ。
聞くだけじゃ全部こう負っちゃうから。
大竹
まあでも純粋に考えてみると、俺なんかもそうだけど。
ダメ夫になろうと思ってなったわけじゃないけどね。
阿川
そうなの?(笑)
大竹
もうそりゃ世の中の流れ、いろんな運だとかいろんなことがあって
生活が上手く回らないと・・。
水無田
大竹さんすごく重要なことを仰ったんですよ。
っていうのも、結婚する時点と経年して時間を経て子どもが出来たりとか
親の介護を抱えたりとか、
あと仕事だってずっと上手くいってるわけじゃないじゃないですか?
そういった中で条件ってどんどん変わるんですよ。
なのに日本の社会にこういう福祉だとか制度って
要は安定した状況でずーっと人が家族生活を営んでいくを前提にしているんですよ。
ところが条件によって全然変わっちゃうんですよね。
失職することもあるし、子どもが病弱だったりしたらもういろいろ大変になっちゃうし。
阿川
でもさっき仰った行ってみたら生活苦とか子ども育てる養育費、
経済的な問題っていうよりも夫の愚痴の方が先攻しているっていうことは
つまり生活苦よりも「聞いてよ」っていう。
水無田
まあそれはありましたね(笑)
阿川
逆に言えば何とかやってるっていうことですか?
水無田
まあ比較的恵まれている人たちも含めてお話を聞いたので
というのもシングルマザーのひとつ捉えられ方として
なんて言うんですかね?すごい極端な例がメディアに踊るし、
あともっと言うとそれこそ放置された子どもが亡くなっちゃて事件化してから
って報道が多いでしょ?
そうすると、気の毒で可哀想なシングルマザーの人に施しを!的な
そういう言い方悪いですけど、そういう報道が多いので。
そうではなく、あなたの隣にすぐいるような普通に生活をしている人が
抱えている問題ということで見て欲しかったんですね。
現実に子どもがいる世帯のうち大体8世帯に1世帯はもう一人親世帯なんですよ。
ということはクラスに4、5人必ずいる感じですよね?
だからマジョリティではないけれども、決して無視できない人たちで
もちろん普通に生活はしているけれども実はこれだけ中身を探ると大変。
阿川
大変っていうのは具体的にはどういうことが隣の家でも起こってる?
隣のシングルマザーにも起こっているっていうのはどういうことなんですか?
水無田
それがまさに経済的な問題、先ほど大竹さんも仰っていただいたんですけれども。
それだけじゃなくって、両親揃ってお母さんが全面的に家事育児に専従している
っていうことを規範的に標準的な世帯として考えちゃってるんで、
要はシングルマザーって家計責任と家庭責任両方負っちゃうんで
時間的にいっぱいいっぱいなんですよ。
阿川
お父ちゃんとお母ちゃん、両方1人で背負うっていうことですよね。
水無田
それでもう本当に寝る暇もなくなってしまうような、
時間貧困に陥りがちなんですね。
今ですらも、一般的な男性と女性比べても日本人って女性の方が
家事育児なんかの無償労働を含めた労働時間って総労働時間って
1日当たり男性より1時間近く長いんですよ。
そして男性より女性の方が睡眠時間が短いんですね。
元々時間的にいっぱいいっぱいなところにお父さん並みに家計を背負うとなると
もうこれは大変になってくるんですよね。
大竹
仰った言葉の中に不安定要因、今非正規の方も4割を越えてる。
それに不安定要素っていうのはさっき言ったように
安定して続くものが何もないっていうのと
もう1つ先に、漠然的な不安っていうのがあるよね?
水無田
仰るとおりで例えば調査なんかで見ても日本人の7割が今不安を抱えていると。
特に「将来が不安」だと、それは逆を言えば今までものすごく安定した社会を
前提にいろんな制度とか雇用環境とか整えられてたからなんで
変化すればそれにたいして脆弱になっちゃうのは当たり前なんですよね。
だいたい高度成長期の50年代から70年代のすごく経済成長が年率9%以上あって
男性の特に若年層を中心とした雇用がすごく安定しててみたいなことを前提に
いろんな社会制度とか家族の慣行とか地域社会のあり方とか
全部その時代に決まったものが変えられないまんま社会が流動化していって
非正規が増えているからですね。
大竹
だからまあその生活の安定とか不安定とかある先に
その全部の先に不安定要因があるわけじゃない?
これが・・なんて言うのかね?若い人じゃなくて年寄りにも
漠然として金を使わないぞみたいな様子にもなるし、
年取ったら仕事もないからどうしたらいいんだ!とか
っていうそういう社会の不安な要因って
今あるここの母子家庭のここにあるだけじゃなくて
もう1つ先の将来型に対するものも
なんか俺たちみたいな団塊の世代に人間は持っちゃうね。
阿川
なんかシングルマザーがそれだけいて、
それだけ苦しんでいる上にはシングルマザーのお父さんお母さんっていうのがいて
そろそろ介護して欲しい歳になってるんだけど、娘が戻ってきてしまいましたと。
そっちの面倒も見なきゃいけないっていうのに
娘の方は娘の方でそろそろ親の介護を始めなきゃいけないって
だんだんだんだん迫ってきてる・・
水無田
だからそういう家族で抱え込む、特に女性が抱え込む方ではなくって
だいたい1970年代から2000年代にかけて先進諸国
特に北欧ヨーロッパなんかだと
個人単位に社会保障制度を組み替えて、いろんな多様なケアワークなんかを
介護とか育児を抱え込んだ人たちを前提に変えてきていることによって
対処しているんですね。
日本はそこが全く変わってないんです。
大竹
そのために消費税が向こうは高かったりもするわけだけどね。
水無田
そうですね、ただそれを配分するとかね、将来世代に対する投資として
シングルマザーの子どもたちにとっても教育や福祉の問題も
単にシングルマザーの支援だけじゃなくて
次世代を担う子どものためっていう前提でやってるんですよね。
そこの発想が違うんですよね。
大竹
それをしないと連鎖がどんどんどんどん始まっちゃうもんね。
水無田
貧困の再生産になってしまう。
それを防ぐっていう発想がもっと日本の社会保障制度とか
様々な政策には必要なんですよね。
(了)
今週の人気記事
- 宮台真司が語る「最近のナンパのやり口にもの申す!」
- 安住紳一郎が会ってきた「名古屋場所の白鷺の姐御」
- カンニング竹山が聞く「ずっと作者不明のまま手書きの楽譜だけが伝わる謎の合唱曲『秋光』」
- カンニング竹山が語る「芸人を諦める年齢が上がってきた」
- 樹木希林が語る「大竹さん、折角来たので質問していいですか?」
- 大森靖子が語る「自分は風俗資料になりたいと思っているので自分と一緒に歌詞も古くなっていけばいい」
- 松本明子が語る「4文字事件の翌日は社会面です、一般紙の」
- 宮台真司が語る「オンナはもう、オトコに顔を求めない」
- ダイノジ・大谷ノブ彦が語る「大谷ノブ彦って良いパーソナリティでしょ?」
- カンニング竹山が語る「種子島ってこんな島」
関連コンテンツ
自己紹介
ラベル
ゴールデンラジオ
(92)
デイキャッチ
(50)
たまむすび
(36)
Session-22
(31)
キキマス!
(31)
タマフル
(21)
キラ☆キラ
(20)
Dig
(16)
以外
(16)
日曜天国
(14)
ももいろクローバーZ
(9)
深夜の馬鹿力
(7)
SUNDAY FRICKERS
(6)
起こし・オブ・ザ・イヤー
(6)
ビバリー昼ズ
(5)
ラジオはたらくおじさん
(5)
白鷺の姐御
(5)
夢★夢engine!
(4)
学問ノススメ
(4)
ザ・トップ5
(3)
シネマハスラー
(3)
メキキの聞き耳
(3)
ラジカントロプス2.0
(3)
日曜日のそれ
(3)
おはパソ
(2)
サタデーナイトラボ
(2)
ワークショップ
(2)
東京ポッド許可局
(2)
週末TSUTAYAに行ってこれ借りよう
(2)
JUNK
(1)
くにまるジャパン
(1)
すっぴん!
(1)
アメリカ大統領選
(1)
オールナイトニッポンゼロ
(1)
不毛な議論
(1)