小西克哉が語る「アメリカ大統領選で見習うべき制度」

2012/02/12

アメリカ アメリカ大統領選 デイキャッチ 小西克哉

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今回は、荒川強啓デイ・キャッチ!

「デイキャチャーズ・ボイス」より2012年1月10日放送分、小西克哉さんによる
『アメリカ大統領選。日本でも是非やってほしい「あること」とは?』です。


アメリカ大統領選の度に、現地で取材をしている小西さんによる、
大統領選で見習うべき事が語られています。

音声は、こちらから


小西克哉(以下、小西)
「注目のアメリカ大統領選挙始まる!日本でも是非やって欲しいある事とは?」

ということなんです。
アメリカ大統領選挙、まぁ所詮は外国の選挙なんですが、
あの是非ね、日本の政治にもこれをひとつやっていただけると
もっとたくさんの人が興味を持てるのではないか?という点から
今日はアメリカの大統領選を見てみたいと。

荒川強啓(以下、強啓)
あのつまり共和党の候補者指名争いから見えてくるもの?

小西
そうですね、えーとまぁアメリカの大統領選挙・・。
まぁその選挙は11月の初旬に行われるわけですが、
それまでその予備選挙をやってるわけですね。

先週のアイオワ党員集会っていうのは、その皮切りだったわけですね。
で、何をするか?というと、
7月8月にある両方の党大会に代表を送り込むその代表の選別をしてるわけですね。
つまり2000人くらいいるわけですよ、共和党でも民主党でもね。

その2000人くらいの代表を各州が代表、
「うちは20人」とか「うちは100人」とかっていう
それは人口比例で決まってるわけです。それを送り込むんですね。
そのプロセスが先週から始まったということですね。

一番最初はだからアイオワ州だったわけです。
でまぁ2つの党、民主党と共和党があるわけですが、
オバマさんの党、与党・民主党はもうオバマさんなわけですよ。
実質上、名乗り出ることは無いわけですから、まぁオバマさん。

で、挑戦者の共和党がこれまたたくさんいて、
その中で先週のアイオワの党員集会でトップをとったのがロムニーさんですね。
2位の人がサントラムさんって言うんですが。

問題は、その選別方式が面白い。
これ実はアメリカの予備選挙っていうのは2つのタイプの選別方式があるんですね。
1つはアイオワでやったような「党員集会」
もう一つは明日行われるニューハンプシャー州で行われる「予備選挙」
これはどう違うの?って事なんですね。

その違いはなんか大事な違いなの?っていうことなんですが、
ほとんどの州は、この「予備選挙」をするんですね。
大きな州、ニューヨークとかカリフォルニアとかみんなそうです。

で、「党員集会」というのはやってる州は13か14くらいしか無いんです。
小さい州が多いんです。アイオワとかネバダとかダコタとかそういうとこなんですね。
英語では「コーカス」という言葉の翻訳なんですが。



選挙じゃないんですよ、実は。
これは何か?というと例えばですね、
民主党の代表選を考えましょうか?日本の民主党。
で、今回野田さんが総理大臣になったわけですが、他にも前原さんとか、
色々出られましたよね、海江田さんとか。
その前では菅さん対小沢さんもありましたけど。

今回の選挙なんて3日か4日で持って決めたわけですよね。
どうして決めたか?というと実際にはですね
裏側でみんな相談してやるわけじゃないですか?
なんとかグループが集まってどうこう・・。

アメリカの「党員集会」っていうのは例えば、
共和党の代表を出すのに、赤坂地区で「党員集会」をやりましょう!と言った時に、
赤坂1丁目、2丁目だけでやりましょう!って言う時に、
赤坂小学校に集まりましょうと言うことになるとしますよね?

そうしたら共和党員がそこに集まって赤坂小学校の体育館に
「ロムニーさん支持の人」つったら、「集まれ-!」って
片っぽの方のコーナーに集まるわけですよ。
「サントラムさん支持の人」がまた別の校内に集まったりして。

強啓
一般の人が?

小西
党員の人ですよ、もちろん。共和党の党員の人ですよ、もちろん。
それで3カ所か4カ所くらい、5人候補者がいたら5カ所に集まるでしょ。
で、20人とか10人とか50人とかグループが出来ますよね?

そこでもって普通だったら投票だったら、こんなとこ集まらないでただ一人がぷっと行って
名前書いたりして帰ってくるだけですけど。
「党員集会」であれば、色んなコーナーに人がこう集まって、
今度は議長がですね、集まった人同士の中で色んな政策の違いがありますよ。

例えばロムニーさんだったら、経済的な穏健派ですよね?
で、保守派の人だったら非常に社会問題にうるさいと、妊娠中絶認めないとか、
学校でのお祈りをどうするか?とか色んな事があると。

ここの点について、「君、ロムニーさんのそれっていうのはどう考えてんの?」
「そんなことよりロムニーさんやったら実際の共和党は本当に勝てるのか?」と。
逆にロムニーさんの支持者は
「お前らみたいな保守的な事言ってたら、本選挙でオバマに勝てないじゃないか!」


強啓
ということは赤坂小学校の体育館に集まって、
みんなが議論するの?

小西
みんんが議論するんですよ、グループごとに。
それはもう例えばコーヒーとかドーナッツ食べながら議論するわけ。
別にだから誰かが喋ってどうこうっていうわけじゃないわけ。

それはもうパーティーみたいな感じなんですよ。
僕も何回かアイオワじゃないんですけど色んな党員集会を何回も取材したんですけども。

強啓
そこに代表か議長か誰かいて、
「はいそこの代表から発言を許します」とか言ってやってんの?

小西
1時間か2時間みんなで話し合いしましょう!なんです。
だいたいその1時間とか2時間くらい時間が経って終わったら、
「さぁみなさんいいですか?」と。
「最初にロムニーさんのグループにいた人!
本当にロムニー支持でいいんですね?あなたは!」
というふうに言うわけで。

そしたら何人かくらいは、
「やっぱロムニーっていうのは色々言われているけど、
地元の新聞によると、会社のコンサルタントをやっててそれでもって会社潰して
100人か200人くらい解雇したらしいよ」と。
「やっぱ冷たいよな、あいつは!」とか。

強啓
そうすると、そのロムニーさん支持の方から別のところへ移動したり・・。

小西
「やっぱりこれギングリッチにしよう!」とか(笑)
って移動するんですよ。
で、最終的に決を採るんですね、1時間・2時間後に。

その議長さんが
「この赤坂1丁目・2丁目地区の共和党員は、ロムニー支持○○票、△△支持○○○票」
というふうに書いて、それを配分すなわち比例配分で按分するんですね。

でかいシートがあってそれを何枚かピシッと入れて封印して、
今度は港区支部にあげるわけ。
他の赤坂以外のところ、例えば六本木とか何とか色んな地区があって、
その全部の港区地区の共和党のパーセンテージがでるわけ、各候補の。

それを今度は州単位に上げていくと。
ものすごい手間かかってんるんですよ!
投票だったらもう、そこの場所に行って誰にも喋らないで帰ってくるでしょ?
ところがこの「党員集会」というのはね、
人と・・敵というか・・、自分の考えと違う考えの人と喋って議論して、
説得されたり説得したりするんです。
これがね、アメリカの選挙の原型なんですよ。

強啓
なるほどー。
揉んでいくんだねー、色々と。

小西
揉むんです!揉むんです!
これが例えばね、時間がかかるんですよ。
暇な人しかできないというのが一つある。
だけどね、それが残ってるというのはこれは凄いことなんですね。

で、日本の政治プロセスでもどっかにそういった
本当に3日・4日で総理大臣を決めるのではなくってね、
民主党員のサポーターがいたらね、例えば赤坂地区の民主党のサポーターがね、
本当にこれ菅直人でいいのか?とか、本当に小沢さんがダメなのか?
逆にその野田さんがいいのかどうなのか?
民主党員が1対1と面と向かって話しあうというプロセスがあればね、
だいぶ違って来ると思うんだけどね。


強啓
地方に行くとそれやってるけどねー。

小西
だからね、自然とその形になるじゃないですか?地方なんかは。
なんかこうお座敷の上とかね。

強啓
そうそうそうそう!
車座になってね、ちょっとお茶なんかってのも、
ちょっと渋いお茶なってっても「お前これでええのかぁ?」とかやってますよ!

小西
でね、それが元々の原型でまだ14州くらいでもそれやってるわけですよ。
これはね、すごく羨ましい!
投票っていうのは誰とも喋らないんですよ。
行ってブースに行って帰ってくるだけ。

もちろん本選挙の時にはそういう事はね、大人数だからしょうがないんだけど、
せめて党の代表を出す時はね、それが出来るんじゃないか?と思うんですね。

アメリカはいろんな意味で金権選挙なんですよ、本当は。
だけどね良い面も持ってる。こういった良い面というのは是非とも皆様に知って欲しい!

だから次のニューハンプシャーはあれなんですけど、
「党員集会」をやってるところというのはね、
やっぱりなんだかんだ言っても関心度が高いんですよ。
これはやっぱりある意味では素晴らしい制度だと思います。

強啓
しかしまぁ8票差っていうのは、またすごい僅差だけどね。

小西
だからこれはまさにそういった事だから8票差が出てくる。
パーセンテージは同じですよ。
代議員のパーセンテージは同じなんです。

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