中島啓江が語る「『仰げば尊し』を最後まで歌えないんです」

2013/04/27

HIROSHI ゴールデンラジオ ピアニスター 音痴 仰げば尊し 大竹まこと 中島啓江

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今回は、2013年3月15日放送「大竹まことゴールデンラジオ」
「大竹メインディッシュ」中島啓江さん・HIROSHIさん
の回を起こしたいと思います。


大竹まこと(以下、大竹)
お二人ともようこそいらっしゃいました。

中島啓江(以下、中島)
本当にありがとうございます。

大竹
えー中島さんはいつもいらっしゃる時に
どなたか紹介して下さって、この番組に

中島
とにかく稀少な音楽家を。

大竹
前回はあれでしたよね。
ソプラニスト。

中島
本当に素晴らしい。

大竹
本当に綺麗な声の岡本(知高)さんを紹介していただきました。


中島
とうとう妹にしちゃいましたので。
もう「ダイナマイト姉妹」って言って売り出しております(笑)

大竹
今日はダイナマイトな体格ではいらっしゃいませんが、今日の方は?

中島
これはね、私の頭の中が爆発しそうなくらい
びっくりしたピアニストです。
なにしろ右手と左手で違う曲を弾くんですから!
「えーっ!」って思うような演奏ですよ!

室井佑月(以下、室井)
私、HIROSHIさんに初めて会うんじゃないですよね?

HIROSHI
いや、違います。

室井
違いますよね?番組の中ですごい演奏聞かせて頂きました。

中島
やっぱりその時もそう思われたでしょ?
だから今日は大竹さんをとにかく驚かそうと思って。

大竹
スタジオにはそれは・・あれは何ていう楽器ですか?

HIROSHI
これ、エレピですね。

大竹
エレキピアノ?・・エレキピアノ。
右手と左手が別の曲?

中島
そう別々の曲を同時に演奏

大竹
普通無理でしょ?それ。

中島
同時に演奏したり、まぁどっちかが出てくると
「あっ、この曲だったんだ!」と思ったり
それがいつの間にか一緒になったり、
だからタイトルも結構凝っているようで凝っていないような(笑)

大竹
まぁとりあえずどんな曲がいいんですか?

室井
見てみたい!見てみたい!

中島
やっぱりHIROSHIさんのアピール出来るような・・

HIROSHI
わかりました!じゃあチャイコフスキーの「ピアノ協『象』曲」


大竹
すいません、あれは「協奏曲」ですけども。



(中略)

室井
「ぞうさん」が入ってたよ!「ぞうさん」が!

大竹
頭が混乱してくるような・・

中島
これでも引き出しが多くないと出来ないじゃない?
うまーくパーツが、「ぞうさん」に合うテンポみたいなのと
元々のチャイコの方のが「ブン、チャンチャン」って来てるから
それと上手く合致させられるように。
でも私あれ好きなのが有るんだけどな・・

大竹
何があるんですか?

HIROSHI
もう一ついきますか?

中島
あの演歌と・・

HIROSHI
そっちじゃなくて、あの猫ちゃんの。

中島
あれね!あれはかわいいですね。
あの猫と犬ってあんまり仲良くないですけど
それを一緒にしちゃいました。

大竹
えっ、どういうこと?
ちょっと聞いてみましょう。

大竹
「犬のおまわりさん」と

室井
「猫踏んじゃった」か。

HIROSHI
「迷子の迷子の子猫ちゃん踏んじゃった」でございました。

中島
2人でコンサートするときには、
「猫踏んじゃった」ってよく昔は「こんなの弾いちゃいけません」って
よく怒られたもんなんですけども。

「でも、そんなことないですよ!」って2人でね言って
子どもがもしいたら「やりたい!」っておもったら上げてね
一緒に「猫踏んじゃった」演奏するんですよ。

大竹
「猫踏んじゃった」ってあれ全曲弾くと
けっこうあれなんですよね?ちょっと逆転っぽく聞こえちゃう感じの・・

中島
曲としてはとってもかわいくって。
あれを譜面にすると誰も弾けなくなっちゃうっていうよね。
全部黒鍵ですから、ちょっと白鍵も使いますけど。
でも黒鍵の譜面なので、フラットが・・すごい6つ!

大竹
弾きづらいんですか?

HIROSHI
弾きづらいというよりも、譜面が読みづらいんですよ。


大竹
読みづらい?ああ、老眼とかそういうのじゃなくてね。

中島
だからみんな小さいときに弾いて覚えて、
だけどそれを弾くと「だめですよ」って先生とかに怒られたもんなんですけども。
でも、「そんなことは無いんですよ」って言って演奏するの。
それで喜びますから。

大竹
HIROSHIさんとはどこでお会いになったんですか?

中島
とあるラジオ番組にご出演されて。
もうウケまくっちゃって私、これちょっと一緒にコンサート出来ないかしら?
と思っているうちに。

大竹
それでお呼びになって・・

中島
それで自分のコーナーがあって
音楽家をいつも呼ぶっていうね。
「啓江部屋」っていうのがあって、そこにHIROSHIさんがいらっしゃった。

HIROSHI
入門いたしまして、はい。


中島
いやすごかったですよ!本当にびっくりしました。

大竹
HIROSHIさんはなんでこう
両手で別のことが出来たり、どうしてそうきっかけは
何でこんなすごいことに?

HIROSHI
子どものころからピアノは習ってたんですが、
うちで勝手にこういうことをやってたんですよ。

大竹
えっ!!

HIROSHI
でなんか決意したとかそういうのは全く無いんです(笑)

大竹
決意じゃないんですか?

HIROSHI
はい、まったく!

大竹
やって遊んでた?

HIROSHI
いたずらです。

室井
これはどうなんですか?エピソードとして
子どものころのHIROSHIさんのエピソードで
「外を歩いていて近所からピアノを弾いている音が聞こえてくると
 その家に上がり込んで、耳で覚えた曲を弾かせてもらっていた」っていう

大竹
ちょっと待ってください、それどういうことですか?

HIROSHI
だからその頃、僕ピアノ習って無かったんで
ただ聞けばなんとなくこの音かな?って分かったんで
で、ピアノを習わされてる女の子をつまんなさそうにしてるんで
「ちょっと貸して」って言って、で弾いて遊んでたんです。

大竹
ハナから絶体音を持ってるっていうこと?


HIROSHI
持っていたようです。

大竹
もう揺るがない。だから音聞いたらそれが耳が良くて聞いたもんだから
想像だけで弾けちゃうっていう。

HIROSHI
まぁもちろん探り弾きですけどね。

室井
で親御さんが近所の方に申し訳ないっていうので
ピアノ教室に入れてくれたって(笑)

大竹
それは近所の方に申し訳ないよ!
勝手に上がり込んでその子より上手く弾いちゃったら!

HIROSHI
それそこその頃は女の子はもうアクセサリーのように
ピアノを習わされる時代、もうフランス人形を
上に置いてっていう時代ですが。
男の子は本当にまだ少ない時代。

室井
そっか私はね、ピアノを弾ける男の人っていいなーと思って
幼稚園の頃にピアノ教室に入れたんですけど、
3日で辞めくさってきて(笑)

大竹
辞めくさりましたか(笑)

中島
でも彼は元々音大ではピアノ科ではないんですよね?

室井
何科なんですか?

中島
一番難しい「楽理科」というか・・

HIROSHI
「楽理科」ってとこなんです。

大竹
「楽理科」ってなんですか?

HIROSHI
あの・・「音楽理論」と思われがちなんですが
そうじゃなくて意外と音楽美学とかですね、
音楽の歴史とか民族音楽の研究とかそういうのをやる科です。

室井
難しそう・・。

HIROSHI
だいたい世に言う「音楽評論家」の先生は
だいたいうちの出身です。

中島
だから執筆も。

大竹
じゃあモノを書いたりしてらっしゃる?

HIROSHI
・・こともありましたけど。

大竹
それより今はこの方が楽しくなってきたっていう?

HIROSHI
いや元々ピアノの演奏が好きだったんですが
高校時代ロックバンドとかばっかりやってて
ピアノ科にいける状態じゃなかったんで、そっち行ったんです。

大竹
え?どういうことですか?
意味分かんない。

ピアノをやろうと思ってたんですか?
それとも・・あ、そうか
クラシックよりもロックの方が楽しくなったってこと!

HIROSHI
そうなんです。

大竹
ああ、そうか・・。
その時は担当は何だったの?

HIROSHI
いや、キーボードです。

大竹
キーボードを担当して、ロック系のことをやってらっしゃった。

HIROSHI
やってたんです。
でも一応どこか大学行かないと格好がつかないってことで
じゃあまぁ「楽理科」だったら広く浅く勉強すれば済むかな?っていう。

大竹
へぇー、才能の塊みたいな。

室井
本当だね、私もうなんか音楽やってる人素敵だなって
ほんのちょっとした楽器も弾けないからさ。
小学校時代ピアニカでつまずいた女なんだよね(笑)


大竹
俺はもう小学校時代、前にも話したけど
声楽でつまずいた男だから。
みんなで歌ってるときに「ちょっと大竹くんだけ止めてくれる」
「あっ、これでいいんだ!」って言われたことあるからね

中島
うわーでもそれひどい!そんなこと言う先生。

大竹
でもね僕ねそんなこと傷つかないんですよね(笑)

中島
私も小学校4年の時に音楽の授業で
「あんた、声が大きいわね」って怒られて歌えなくなっちゃって

大竹
あ、そうですか!!

中島
そうなんですそしたら次、転校した先で
「あんた何でそんな大きな声なのに歌わないの!」って
言われてまた気持ちが戻って来た、歌の方に。

大竹
俺、それトラウマで高校時代
音楽の授業、1回も出なかったですよ。
どんどん音痴になってくる(笑)

中島
ちなみに世の中に音痴なんていないんですよ!
みんな勇気出して下さい!!

大竹
まぁそう言うけどーー!!

室井
いますよ!だって私カラオケの3番まで歌いたいのに
1番の途中で切られるもん!!一緒に行った人に。

中島
あのね、よーく音を聞けばいいんです、ちゃんと音を。
多分歌ってる時に聞こえないんですよ、うん。
だから聞くようにしてそれであとはもう、努力!

で、みんな「練習」っていうと
いつも流してるだけしかやらないでしょ?
最初から最初まで。

一番不得意なところをね、何回もやってみて
「あ、ここはこうだったのか!」っていうのがわかると
あとはさらーっといけますから。

大竹
中島さんの言うこと、HIROSHIさん信じていいですか?

HIROSHI
あ、それは本当だと思います!

大竹
でも絶対音があるからなー。

室井
絶対あるある!!絶対ある!!

HIROSHI
でも絶対音ってあって邪魔なこともあるんですよ!

大竹
どうして?

HIROSHI
逆にカラオケ行ったとして、イントロ聞いた瞬間に
「あ、このキーじゃ無理」って分かるわけですよ。
だからどうせこの曲声が出ないからって「切って」って言っちゃうんですよ。

大竹
それもあるかもしれないけど。

室井
え、本当に音痴って直るんですか?

中島
直りますよ!直るっていうか・・
音痴と言われている人たちはその・・なんていうのかな?
本当に落ち込まないで欲しいんだけど、
ただ興味がそっちに行ってないだけなんですよ、音に。

室井
なんかちょっと音程違ってるな?くらいの人っているけれども
その歌が違う歌になっちゃってる人いるじゃないですか?
ちょっと名前出すと、きたろうさんとか。

大竹
きたろうね、きたろう。
違う歌だもんね。

中島
でも私のモットーはね、
いくら音大出ても音程とか美しい声とかっていうよりも
「味がある歌」っていうのがすごく好きなんで。

室井
ああ・・味あり過ぎる、味あり過ぎる!

大竹
いやだからね、それでもほら
まぁ今の言葉は希望を与えるけどさ、まぁそれは若い・・
60過ぎてからの音痴はなかなか直んねーでないの?

中島
いやそれが今!あのね、ちょっと手前味噌ですけど
私の応援している「スマイル合唱団」今ね平均70,80なんですよ!
みんな「歌、歌えなかった!」とか言いながら
通うようになったら、みんなと一緒に歌ったら歌えるようになっちゃった!


本当ですよ!
もうだから嬉しそうにして帰るの!

室井
でも楽しいかも、大きい声で歌うと。

中島
大きな声出して、もう笑顔でいれば元気になれます!

大竹
今回は、HIROSHIさんと中島さんが一緒にやることになったんですか?

中島
バトルですね。

HIROSHI
そんなもう!大先輩の啓江さんにそんなバトルだなんて
とんでもございません!

中島
いやいやいや、彼とね今回は博品館に登場して頂くんですけども
外もよくコンサートで回ってて。

HIROSHI
もう全国ね、ジョイントで回らせて頂きまして。

中島
最初タイトルがすごく素敵なタイトルだったのよね。
「豪華絢爛」とかね、だんだんそこが
「面白コンサート」とかねタイトルがだんだんね砕けてきちゃってね。

HIROSHI
でもチラシの写真を見ると、2人載ってると
確かに面白そうなんですよね。

中島
だから引っ込む度に衣装がどんどん派手になってくるんですよ。

HIROSHI
啓江さんもですよ!

中島
それで、やっぱ東京ではやってないんで。

大竹
これまだ東京でやってないの!

中島
そうなんです、ですからねちょっとHIROSHIくんと2人で
やってそのバトルの一部を聞いて頂くのと同時に
私の長年やっている、まぁ20年なんでお祝いにその中で
スペシャルな曲を彼に演奏して頂くと。

大竹
でも中島さんは「仰げば尊し」はいつもいつも
最後まで、泣いちゃって歌ったことないんでしょ?今まで。


中島
ダメなんですよ!

大竹
最後まで歌えないんでしょ?
今回、歌うっていうふうに聞いてますけども。

中島
もうあのね・・って言っててもう涙ぐんでる・・。
あのやっぱりね小学校の時はすごくいじめられたりして
それでも学校休んだこと無かったんですね。

それは母のおかげなんですけど。
だからね、卒業式ってなるとこの歌を聞くとね・・
この歌は元々アイルランドの方の民謡なんで
人の心を打つメロディは確かなんですけど。

大竹
これ元々はアイルランドの?

中島
曲は日本の曲じゃないですよね。
そこに詞をつけて、でもその詞がね素晴らしいなと思ってて。

だって2番なんて、他人ですよ!生徒たちは。
なのに自分の息子でもないのに、
「身をたて 名をあげ、やよ はげめよ」っていう
先生の思いっていうのが。

その♪身をーたて の時にウォーーって。
でそこの部分ってずるいんだよね、作曲がね。

大竹
どうしてずるいんですか?

中島
あのね、一番嗚咽に近づきやすいキーのところに行ってるからね。

HIROSHI
一番上がりますよね、メロディがね。

大竹
そうするとやっぱり涙腺と近くなるから
上がったときの音って。

中島
たまにごまかす人はね、♪身を・・ゴホッってなって
泣いたふりする人もいるけど。もうみんな泣きますもん!

大竹
でもその中島さんが「仰げば尊し」今まで最後まで
歌ったことないっていうのは、なんか感情の豊かな感じがするよね。

中島
もう良い曲なのに・・
だからそのお詫びと言っちゃなんですけど
この20年間をご来席の皆さんと一緒にね
ミニ卒業式をしましょうと言ってやってるんです。

だからずっと「『仰げば尊し』を歌いに来ました」
っていう方もいらしゃって

大竹
まぁそのいじめられた事はお母様も
ずいぶん援助して下さって助けて下さって

中島
母もね、本当は大変だったのに。
ちょっと家で、まぁ私は外でいじめられて帰ってくると
今度は家で父がちょっと酒の方に溺れていたもんですから
蹴飛ばしているところとか、ひどいところを見て育ってきたんで・・

大竹
お母さんはえらいですね!もうね。

中島
あのね、「貧しい」とか「苦しい」とか
「悲しい」とか一言も言わない!

だから余計こっちが泣けて来ちゃって
それででも絶対母を泣かさない!って桜島と約束したんで。

大竹
桜島と約束したんですか!


中島
そうそう(笑)
3歳と6ヶ月で桜島渡りするときに桜島山が見えるんですよ。

大竹
あの噴煙が出ている?

中島
あそこにね、桜島山さよく聞いとくれっておもんせね・・って

大竹
今、なんて言ったんですか?

中島
「桜島さん、話をよく聞いて下さい」って
ちびちゃんが言ったんですよ。

それで「私は絶対お母さんをここに連れて帰ってくるから」と
それで心の中では母に聞こえないように、本当に
「絶対、母さんを泣かさないからね」って約束したの!

大竹
桜島と!

HIROSHI
素晴らしい!!

中島
そしたらどうですか!
とある大きな放送局のテレビで「篤姫」が
私と同じセリフ言ってるじゃないですか!!

大竹
あ、そうなんですか?

中島
そうですよ!

室井
パクリですね!

中島
パクリですよ!!
でもまぁ実際は歴史は向こうの方が先だけど、
ちょっと脚本は私の方が先じゃないかい?みたいな。

いやでもね、みんなそれほど桜島って自分と・・大きな山でありって
でもそれを無理矢理連れて行かれて中央の方に来る途中で
もっと大きな山を見ちゃってびっくりして、それが富士山ですよ。

大竹
俺も中学くらいの時には、あれだな。
東京タワーと何か約束しとけば良かったな、でも(笑)
でもその約束はけっこう果たせてますもんね。

中島
うーんでも本当はもっと長生きして欲しかったです。
69歳で亡くなったんで。

やっぱりね、HIROSHIくんと演奏してるところは見せたかった
うちの母もねピアノとか大好きで、本来ならばいけないんですが
母が一所懸命内職して2千円を作ってくれて、
それで街のピアノの先生に習いに行ったんで。

室井
いい話。

大竹
でも中島さんのそういうお話を聞くまでは
中島さんもいつも優雅でいらっしゃるから
もう本当にすくすくと何もなくこう・・声楽の道を志して来られたように・・

中島
私、アルバイトの女王ですよ!
もう中学校の時からアルバイト・・

大竹
中学でバイトしたんですか?

中島
すごいいろんな。
レジはピアノが弾けるんで両手もう自由自在に動くの。


大竹
それでやっぱし、HIROSHIさんのその両手を
自由自在に操ることにも・・

中島
いや、すごい興味がありました!
それとあとアレンジがね、とっても面白いんで。
リクエストに応えてくれるこの人のもう懐のすごさ!

HIROSHI
いや懐が深いのは啓江さんでございますけどね。

(了)

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