今回は、2013年10月31日放送「荒川強啓 デイ・キャッチ!」
「デイキャッチャーズ・ボイス」山田五郎さんの回を
起こしたいと思います。
荒川強啓(以下、強啓)
今日のテーマはこちらです。
片桐千晶(以下、片桐)
「本当は怖いハロウィン」
山田五郎(以下、山田)
はいはい、この今日10月31日はハロウィンの日で
ここ数年急速に日本で普及してますでしょ?
もういろんな業界が関連商品出したり
イベントが行われて、もうあちこちで
仮装パーティーが開かれてるんですけども
もうクリスマス並に定着してきたとも言われるんですけどね。
まずご存じの方も多いでしょうけども
そもそも「ハロウィンって何?」っていうことなんですけども
これね、元々はヨーロッパの先住民族であるケルト人の土俗信仰
まあドルイド教っていうのがあったんですけども
それのお祭りが起源なんですよ。
だからカトリックはじめ多くのキリスト教会はこれを
公式行事としては認めてないんですよ。
ここがクリスマスと大きな違いなんですよね。
強啓
その土地の・・?
山田
はい、土俗的な・・ケルトのね。
で、古代ケルト社会ではこの11月1日
まあ1日の始まりが夜だから、その当時は。
正確には10月31日の日没が1年の始まりなんですよ。
で、同時に闇の季節である冬の始まりなんですよね。
日本でも立冬ですもんね、このころね。
で、この日はね。
この世とあの世の間の扉が開いて死者や魔物がやってくる日なんですよ。
日本のお盆と同じなんですよ。
だから皆、その先祖を迎えて
また一方では魔物を家に入れないためにカブで作った灯籠
コロンブス以前にヨーロッパはカボチャが無いですからね。
カブで作った灯籠に灯りをともしたり、
魔物よけの仮面を付けたりっていう風習があったわけですよ。
これ古くからね。
そこにキリスト教が入ってきたわけですよ。
そのときにキリスト教の方はキリスト教の方で
亡くなった全ての聖人を祈念する万聖節っていうのはあるんですよ。
それから亡くなった全ての信者の人を祈念する万霊説、
死者の日っていうのがあるんですけれども。
それをこのお祭りと集合したんですよ、くっつけたんですよ。
それで万聖節、これ今は「All Saints’ Day」って言いますけど
昔は「All Hallos’Day」って言ったんですよ。
だからその万聖節の前夜、「Hallos’eve」
これが訛って「Halloween」になったんですよね。
強啓
へー、知らなかったなー。
山田
だから日本で昔は「万聖節前夜」なんて訳したりしてたんですけども。
これあの日本でも神仏習合って言ってね、
仏教のものと神道のものがくっついたりしましたでしょ?
キリスト教もヨーロッパに普及する課程でこういう
元々あった土俗信仰と習合していってるっていうんですよ。
例えばクリスマスなんかも聖書から推測されるイエス様のお誕生日って
4月から9月の間なんですよ。
9月15日説っていうのが有力なんですけれども。
でも古代ローマとかケルトとかゲルマンのヨーロッパの方で
冬至のお祭りがあったわけです。
そこと習合させて12月25日にしたんですけどね。
強啓
あ、そうなの?
山田
だからまあハロウィンっていうのもそういうように
ドルイド教の「サーウィン」っていうお祭りと諸聖人の日を合体して
定着したんですよ。
でもこれ何しろ元々異教の魔物とかなんかの格好とかしたりするもんだからね
教会的には「あんまり好ましいもんじゃないよ」って
むしろ廃止しようとしてきたんですけども
ケルト人の伝統が強いアイルランドとかスコットランド
ここで脈々と行われてきてたんですよ。
で、このアイルランドやスコットランドから多くの人が
アメリカに移民しましたでしょ?
それでアメリカに定着したんですよね。
かつてアイルランド時代はカブを使ってところをアメリカではカボチャになって、
それで子どもが魔物に仮装して「Trick or Treat?」なんつって
家を回るかたちっていうのが定着していったんですけどね。
だから本当にお盆に似てて、日本のお盆の時期も
子どもたちが灯籠に使うロウソクだとかお菓子をもらい歩くって・・
強啓
やってましたね。
山田
北海道の方では残ってるんでしょ?
「ローソクもらい」っていう
強啓
そうそう、♪ローソク出せ~出せよ~ つってね
皆回るんですよ、ご町内を。
♪出さねと、かっちゃくぞ おまけに食いつくぞ っていうね
山田
それは完全に「Trick or Treat?」ですよね。
強啓
「かっちゃく」っていうのは「引っ掻く」っていう意味なんです、方言で。
山田
だからそういう非常に土俗的に風習なんですよね。
まあこのアメリカで定着したハロウィンなんですけれども。
設定が非常にホラー向きじゃないですか?
だから例えばレイ・ブラッドベリの小説だとか
ジョン・カーペンター監督の「ハロウィン」シリーズ、映画。
それからティム・バートンの「ナイトメアビフォアクリスマス」っていうのも
あれもハロウィンタウンが舞台だったりしまして。
そういうのを通じて日本でも以前から知られてたんですけどもね。
今みたいには流行ってなかったですよ、昔は。
何でここへ来て急に!ということなんですけどね。
一般に言われているターニングポイントは1997年と言われているんですよ。
この年にですね、東京ディズニーランドで「ディズニー・ハッピー・ハロウィン」
が始まったんですよ。
で、最初は10月31日の1日だけだったんですけども。
今やもう9月中から始まってる一大イベントに成長しましたよね。
このディズニーランドのハロウィンイベントが1つ
それから同じ97年に「カワサキハロウィンパレード」
っていうのが始まってるんですよ。
片桐
ああ!大きいパレードですよね?
山田
そうなんです、これも最初は300人くらいから始まったんですけど。
今やもう参加者が増え過ぎちゃって3,000人限定にしてるんですよ。
抽選で皆、参加する3,000人のパレードが行われて
他に映画祭とかイベントとか目白押しなんで
今年も11万人からお客さんが押し寄せてるんですよね。
こういうふうに97年ぐらいからそういうイベントがあって認知が広まったと。
で、やっぱりこの「仮装する」っていうのが
コスプレしたいけども口実が欲しかった人たちの
心を捉えたっていうのは有りますよね?
このカボチャで作る灯籠、あれは「ジャックオランタン」っていうんですけども。
ジャックオランタンとか魔女とかね、キャラクター化しやすいアイテムがいっぱいあって
いろんな業界が参入できるっていう、まあ流行した理由がいろいろ考えられるんですけども。
僕、個人的にはここでね大きな役割を果たしたのが、
幼稚園のママ友ネットワークなんじゃないか?と思うんですよ。
どうもこれ私の印象なんですけれども、
クリスマスイルミネーションをやりたがるタイプの奥様方っていうのは
大概ハロウィンも好きな感じがありまして・・(笑)
その幼稚園のママグループなんかで地域イベントとしてのハロウィンみたいのを
2000年前後からやり出してるんですよ、それで広がっていったんですよ。
で、今幼稚園時代にハロウィンパーティーとかやってたような子どもたちが
そろそろ成人し始めて・・うちの娘なんかもそうなんですけども。
自分たちで仮装パーティーをやったりみたいな、そういう時期に来てるわけですよ。
これがこの数年で急激に広がったように見える理由なんじゃないかな?と
このママ友ネットワークがあれなんじゃないかなっていう気が・・
片桐
子どもたちに仮装させて皆でパーティするママさん多いですよね!
強啓
日本の伝播はママ友ネットワークですか!
山田
でね、この流行どうなのよ?っていう話なんですけども。
まあ別に僕、皆が楽しいなら大いに結構なことだと思うんですけどもね。
あんまり「ハッピーハロウィン!」とか言って無暗に明るく騒ぐのは
ちょっと違うんじゃないかな?とも思ってるんですよ。
やっぱりブラッドベリの小説とかね、ティム・バートンの映画にもあるように
ハロウィンって子どもが闇の恐怖を体験する良い機会でもあると思うんですよね。
やっぱりこのちょうど冬が始まってゾクゾク・・日が短くなって寒くなってくる
何とも言えない夕方とか怖いですよ。
本当になんかこの世とあの世の境が曖昧になった感じで。
一言で言えば「なんか出てきそうな感じ」ってのがすごくする季節ですよね。
そういうそのゾクゾクする怖さの中に、でもちょっと一抹のワクワク感もあったりとか
あるいはこう寒かったり怖かったりするから、
逆に光の明るさだとか陽の暖かさだとか家族の安心感だとか
そういうものがすごく大事だなっていうのを感じるわけじゃないですか?
だからやっぱり子どもの感受性っていうのを養うためにもね、
ハロウィンが本来持ってるその怖さっていうのを
無くさないで欲しいなと思うんですよ。
仮装した子どもたちもちょっとお墓とかも連れてったりとかぐらいの方が
良いんじゃないかと思うんですよね。
ちなみに10月31日、日本ではね「ガスの日」でもあるんですよ。
強啓
何ですか、それ?
山田
これねあの明治5年10月31日、新暦の10月31日に
横浜の馬車道に日本初のガス燈が灯った日なんですよ。
強啓
ああ!聞いたことあるな、それ!
山田
これも闇の怖さと光のありがたさみたいなのを
改めて知る日っていうのが奇しくもハロウィンと重なったっていうのも
なんか因縁かもしれないなっていう・・
やっぱりこの季節だからこそ味わえるこのゾクゾクした怖さの中の
ワクワク感を楽しみたいなと思いますね。
強啓
「ハッピーハロウィン」の前に
「本当は怖いんだぞ!」ということを。
山田
「ゾクゾクハロウィン!」を。
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