今回は2014年9月6日放送「ジェーン・スー 相談は踊る」
19時台「リスナーからの相談」を起こしたいと思います。
高橋芳朗(ヨシくん:以下、高橋)
それでは早速、今夜最初の相談にいってみましょう。
ラジオネーム・ツナ缶さん、28歳男性の方です。
メール
ジェーン・スーさん、芳朗さんこんばんは。
フリーで仕事をしている場合のギャラの交渉について
相談したくメールしました。
ジェーン・スー(以下、スー)
おー、生々しいね。
フリーのギャラね、あるね。
メール
最近少しずつですが、実家に寄生しながらも
目標であった脚本を書くということでお金をもらえるようになってきた
駆け出しの脚本家です。
スー
すごいね。
メール
ですが、ギャラの交渉の仕方がよく分かりません。
新人だということを加味しても、あまりにも安すぎる値段だったり
いくら催促しても払ってくれないような状況に陥ったりすることがあります。
別に高額なギャラを払え!というわけではありません。
相場のギャラをいただきたいだけなのです。
新人の立場の弱さから言い出せず、
しっかりと確認できないまま仕事が進んでしまい
支払いの段階でゴタゴタが起こったり
気持ちが納得できない、
泣き寝入りのような状況になってしまいます。
正直その頃には書いたものに愛着が湧いてしまい、
元々好きで始めたことなのだから、タダでもいいから
映像にしてくれと思ってしまいます。
裕福な家庭で育ったわけではありませんが、
金銭的に苦労をしたことがないため、
お金を稼ぐということが身に沁みていません。
思えばバイトをしたり就職をして一人暮らしをしていたときも
振り込まれていた給料でなんとなく暮らしていました。
そのため食べていくという覚悟、意識が欠けているような気がします。
今では物欲もなくなってしまい、必要最小限なもので生きているだけの
お金をもらえれば良いと思っています。
もちろん最低限のお金が必要だと頭では分かっているのですが、
なかなか行動に移せません。
ジェーンさん、芳朗さん言い出しにくいお金の交渉を
どういうふうにすればいいのでしょうか?
お2人ともそういう機会があると思うのですが、どうされてますか?
高橋
俺も相談したい!
スー
これはなかなか厳しいところだよね。
高橋
ツナ缶さん分かる!って感じです。
スー
ヨシくん、フリーになって何年?
高橋
もうそうですね・・15年経ってないくらいかな?
スー
よくでもそれで野垂れ死んでないよね?
高橋
ハハハハハ(笑)
頑張っております!
スー
いやいやいや、本当すごいでしょ!
その前はサラリーマンだったじゃないですか?
高橋
そうですね、雑誌の編集部で働いておりました。
スー
そのときは発注する側だったわけでしょ?フリーの人に。
今度は自分が発注される側になって、どうよ?
高橋
いやー、やっぱねツナ缶さんおっしゃる通りですね。
業界は違いますけど、僕音楽業界ですけど。
まあ事前にギャラを提示してくれる方っていうのは
まあほぼいないですね。どうですか?
スー
ほぼいないね・・いないです。
あのね、たくさん説明してくれるんだけど・・
だから心意気は分かるんだけど、ギャラが書いてないんだよ。
高橋
あと逆にさ、あなたレコード会社で働いていたことあるじゃないですか?
僕も編集部で働いたことありますけど、先にギャラ提示したことありますか?
スー
それはけっこうありますよ。
高橋
あるか!そっか。
スー
いやでもね・・これねもちろん人の名前は言わないですけど、
いろいろいるんだよ!いろんな人が!
高橋
どういうことですか?
スー
だからさ、相場のギャラってあるじゃん?
高橋
まあね・・まあね。
スー
一応さ、洋楽とか特にそうだけどライターズクラブみたいなのがあって
一応相場はこれくらいですって決まってるじゃないですか?
そこにプラスオンするかしないかというとこで最低限は決まってると思うんですけど
まあさ、有名どころの人もいるわけじゃないですか?
そこにやっぱり色付けが足りなかったりするとね、聞いたことないと思うけど
でもここで言いますけど
「ゼロが1個足りないよ」って言われたことありますよ。
すごくない?「すいませんでした」って。
高橋
おおっ!それは当然プラスしたんですか?
スー
まあせざるを得ない状況だったのでしましたけどね。
高橋
そうだよね・・まあ確かにね、なんとなくの相場があるから
「まあこのぐらいはもらえるだろう」っていう感覚で
やってるところはありますかね?
スー
でもこのツナ缶さんはさ、やった後に
払い込んでもらえないっていうのがあるじゃない?
これとかはちょっと避けたいよね。
若いとやっぱり「どうせ今チャンスでしょ?」とか
あとあれね、さっきヨシくんが言ってた・・何だっけ?
「プロモーションのためになりますから」って
高橋
「シーンのために頑張って下さい」
スー
そうそう、シーンのために頑張ってください!っていう話を
前にちょっとしたことはあったけどね、「シーン」って何?みたいな(笑)
高橋
だから僕が音楽雑誌をやってたときはヒップホップの雑誌だったんですけど
「ヒップホップシーンのために、ここは一肌脱いで下さい!」みたいな。
スー
最初から「タダなんですけど」
「ギャラはお支払い出来ませんけどいいですか?」
っていう話だったらいいんですけど、
このツナ缶さんみたいに最初はお金の話が出て来ない
いつか出てくるんだろう、出て来たら安すぎた
でももう取りかかっちゃってる。いくら催促しても払ってくれない。
これどうなんですか?でも最初から
「じゃあギャラいくらですか?」って聞くのって
けっこうハードル高いっちゃ高いですよね。
高橋
そうですね、特にこういう駆け出しの方はちょっとね・・
これを聞くことによってこの仕事を失ってしまうんじゃないか?みたいな
そういう怖さもあるじゃないですか?
スー
そういうとき、どうしてたんですか?
高橋
いやでも僕は幸い編集部で働いている期間が長かったから
あんまり下積みっぽい時間がなかったんですよね。
スー
特に舐められることもなく
高橋
来てますね。
だから僕が例えばなんか役者のオファーとか万が一あったときには・・
スー
あっ、出た出た!フックアップ!
高橋
これは困りますよ。
いくらぐらいもらえるのかな?って(笑)
スー
「これエキストラなんで1万円ですけど」みたいな
「でも今後のために!」って
高橋
でも出たいんですけどね・・
ギャラ聞いたら断られるかもしんないしさみたいなね。
これどうすりゃいいんだろな?
スー
でもこれ自分の値段っていうのは、確かに自分が決めることではないんですよ。
人が決めることではあるんですけれど、
ただ受けないってことも出来るはずじゃないですか?
ただ残念な話、ヨシくんも経験あると思うんですけど、
実績が付いてくると自然に上がってくるんだよね。
なぜならぼんやりしたもので「この人はいくら」っていう相場が
載ってるわけではないし、別に代理店の間でCMのねギャラがこれぐらいって
載ってるわけでもないじゃないですか、私たちみたいな木っ端は。
そうなるとなんとなくふんわりあのくらいの仕事やってるんだったら
これぐらい出さなきゃダメかな?みたいな感じで
よっぽどじゃない限り上がってくるじゃないですか?実績が作れれば。
だからね、やりたい仕事で全力を傾けられると思ったら
少しこれはいつもより安いなと思っても受けるけど・・
私のオススメとしては、思ってた値段の7割くらいだったら受けるかな?
「あっ、これ3万円かと思ったら2万円か・・」みたいな
ぐらいだったら受けるけど、それより安かったら
やらなくていいんじゃないかな?と思うんですけどね。
だってね、すごい嫌な話ですけど。
ギャラをちゃんと払わなかったりとか最初からギャラを聞いても
提示してこなかったりとか払い込まれないような作品で
後々あなたの上げるような仕事はない。
高橋
・・・そっか。
スー
何でちょっと言いよどんでるの?
高橋
いやこれ本当にけっこう深刻な問題だなと思って。
スー
いやいや、もう15年やってんのに。
高橋
いや独身でやってるときはいいんですよ。
今、結婚したあととかね。
スー
子どももいるしね。
高橋
そうそう、嫁にさ「この仕事っていくらくらいもらえるの?」って
「分かんねえんだよ」とか言うとさ・・
「あんた、そんなしょうもない業界で働いているの!」
みたいなことを言われるわけですよ。
スー
そうですよね。
高橋
これは何とかしたいですよね・・。
スー
業界の慣習として良くないんですけど、
ただ聞いた方が良いと思います。
で、あまりにも安すぎるんだったらやめてもいいと思う。
いくら催促しても払ってもらえないようなところは
やっぱり2度と仕事はしない方がいいと思うし
きちんと自分の評価をつけてくれるところを見つけるんですよね。
頑張ってサラリーマンから脚本家になったというところで
駆け出しで頑張っていると思うんですけど、
まあね、実家に寄生してて最低限のお金が必要なんだけど
「金勘定に甘いんじゃないか?」っていう心配もあるみたいだけど
だと思うんだったら自分でもう基準値を決めるしかないね、自動的に。
7割でやりたいものだったら受ける。
タダでもこれでは自分の名前が上がると思ったら受ける
ただ人情だったりとか今月仕事がないからすごい安いけど
なんとか手を動かしておいた方がいいんじゃないか?みたいな
ことだったらやらないとか。
高橋
いやでも「やり甲斐搾取」とか言われちゃうかもしんないけど、
ちょっとね自分の夢があるんだったらね、
最初のうちはしゃーねえかな?って気もしますけどね。
スー
どれくらい?
高橋
どのくらいかな・・?難しいですね。
でも実家とかに住んでるんならね、ちょっと安くてもまあやるかな?
トレーニングにもなるし。
スー
最後長くなっちゃうけど、このときにどうしてこういうことになるか?って言うと
インカム・ソースが1個しかないからなんですよ。
やっぱりインカム・ソースをいくつも増やしておくことによって
余裕で断れるようになるんで、決して本業に集中出来ないからということではなくて
脚本なんだったらいろんな人の日常を知っておくことがすごく大事だから
例えばコンビニでバイトでも何でもいいから週に何時間かバイトをすると
で、インカム・ソースがそこであるから
コンビニと比べてこうだとか、これぐらい今月入るから大丈夫だから
これは断れるとかいうような基準を作っておくのも良いと思いますし
それによって新しい脚本のアイデアも絶対生まれてくると思うので
インカム・ソースを複数持つということはこのご時世必要かな?とも思います。
(中略)
宇多丸
ヨシくん、ダメだって!!
「しょうがない」みたいなことさっき言ってるけど、
マジそれダメだからね!!
スー
ちょっとちょっとちょっと!まだ出番早いんじゃないですか?
宇多丸
ちょっと1時間半からもっと早いけど・・。
スー
何故か「タマフル」の宇多丸さんがスタジオに乱入ということで
宇多丸
すいません、お邪魔して。
いやいやあの・・違うんです。
生放送の盛り上がっている空気を吸って
ちょっと「ムービーウォッチメン」のコーナーの準備をしてたんですよ。
帰ろうと思ったら聞き捨てならないね、会話が耳に入ってきて!
スー
タダでもやれみたいなこと言ってますよ!
宇多丸
あっちでね、その放送作家・古川耕さんも音楽業界長いですから、僕もね。
その分かるんです、おっしゃってた話は。
あそこでね、でも・・あなた今業界トップじゃないですか?
高橋
ヨシくん!顔が、顔がもう青ざめて汗だくになってる(笑)
宇多丸
何!シリアスな顔になってんの(笑)
で、ヨシくんがそれを言ったらダメですよってワーッて・・。
高橋
違うんです、違うんです・・違うんです!!聞いて下さいよ。
最初の仕事でホームランを打てばいいんですよ。
スー
そんな無茶言うなよ!
宇多丸
ホームランって内容的なってこと?
そしたらタダでホームラン打ったんだからもっとどんどんそれを・・
高橋
いや、その分あとで取り返せばいいんです。
宇多丸
そうなの!?
高橋
でも駆け出しのときしょうがないときもありますから。
あなたもあるでしょ?
宇多丸
やっぱり弱気に出ちゃうね、
その仕事次もらえるんだったら何でもいいやみたいなね。
高橋
あなたもあるでしょ?
無料でバースを入れたことが?
宇多丸
ないよ!!ないないない!ないことになってるよ、それは!
それはだからダメなんですよ、そういうこと言っちゃさ。
今あんたそういうことを言うと「なんだ宇多丸さんタダでも入れてくれるの」
っていうことになっちゃうじゃないですか!
絶対ダメなんだから!
スー
ヨシくん絶対来るよ「この人タダでやってくれるんだ」つって
明日から殺到だよ!
宇多丸
元々気弱な感じするから「頼んじゃおう!」なんつってね。
高橋
「元々気弱な感じするから」ってどさくさに紛れてひどいこと言ってるな!
スー
ヨシくん、顔が赤いんだか青いんだか分かんないけど(笑)
宇多丸
急に乱入したから、すいませんね・・
私でもちなみに今ただの佐々木士郎ですから、
宇多丸という仮のペルソナじゃなくてですね。
サングラスすらしてない状態で。
単にスタジオに盛り上がってる空気を吸いに来ただけのおじさんなんで。
ただちょっと「聞き捨てならん!」ということで。
高橋
ありがとうございます。
スー
ツナ缶さんいいですか?ダメですよ!
高橋
ツナ缶さん、ごめんなさい!
(了)
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