ダイノジ・大谷ノブ彦が語る「長渕剛っていう人のフィルターを通したら完全なるオリジナルになってしまうというこの妙!」

2015/02/10

いつかの少年 キキマス! 大谷ノブ彦 長渕剛

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今回は2014年12月3日放送「大谷ノブ彦 キキマス!」
「キキマス」その3・大谷レコメンド
起こしたいと思います。


大谷ノブ彦(以下、大谷)
さあ美味しいものの紹介が終わったところで
いつも音楽を1曲、私が毎日グッドソングを選んでお送りする
「大谷レコメンド」のタイムでございますが。

毎週水曜日はあなたからのリクエストということで
先週、リクエストで長渕剛さんの曲を1曲レコメンドしてくれませんか?
ということで1週間考えて悩みに悩んだんですけどね。

良い曲が多すぎましてですね、例えばこれハガキをいただいております。
40歳の方です、ハガキっていうのが有り難いですね。
お年玉ハガキでございますけれど。

ハガキ
紅白歌合戦の発表があった放送のときに長渕ネタが紹介され
曲を掛けていただくことを約束してくれましたが、
お願いしたからには普段あまり掛けてもらえない名曲を

大谷さんには聴いてもらいたくリクエストします。
この曲は先日お亡くなりなった菅原文太さんが出演されていた
「北の国から」の放送回で流れていた曲でございます。

長渕さんが若かりし頃に実際に会った
実在する人物を基に作られたこの曲です。

大谷
ということで「西新宿の親父の唄」でございますね。
これは名曲でございます「やるしか今しかねえ」って
「北の国から」でもね、「ながみぞつよしだー」なんてことを言ってました。


長渕剛 西新宿の親父の唄 投稿者 maruimarui2121

実際に西新宿でおそらく長渕さんが通っていたお店なんでしょうか?
まあフィクションかノンフィクションか分かりませんけど、
おそらくそれに近い経験、モデルにあるようなエピソードはあると思います。



長渕剛さんの話をするときにいろんなところがあるんですよ。
例えば、昔ニッポン放送でラジオをやられたときに
実は「○○風の曲を作ったら」っていうのをやっていた。

つまりモノマネをやってたんですよね。
で、長渕さんっていうのはある種のモノマネ芸の発展じゃないか?
ってマキタスポーツさんが言ってました。

それはすごく僕の中でも思い当たるところはありまして、
例えば初期は吉田拓郎さん、
中期にちょっとロックテイストっぽくなってきたときにですね。

これは映画ファンだったら分かると思うんですけど、金子正次さん。
「竜二」の世界ですね、金子正次さんが遺作で残した
「チ・ン・ピ・ラ」っていう映画があるんですけど。

あの中の主人公のセリフはそのまま「泣いてチンピラ」っていう曲の中で
ちょっとアレンジされて使われていたりとかですね。

その後インドに行ってまたいろんな精神世界に触れてきて
格好もそういうふうになってきたりとか、

今は巡り巡ってですね、ブルース・スプリングスティーンのような
バイクも大っきめの乗ってですね、体も鍛えて革ジャンを羽織ってですね。
破れたジーパンを履くと。

そのときそのときで長渕さんのスタイルってある種の外的な要因に影響を受けて、
ところが長渕剛っていう人のフィルターを通したら完全なるオリジナル
「長渕剛」というジャンルになってしまうというこの妙!

それがアーティスト力なのではないかな?なんて話も
この「キキマス!」では何度か触れされていただいています。

個人的には僕は東京に出て来たのが1991年でございますから、
あのあたりでは長渕さんのコンサートしかもこの曲が入っている
「JEEP」あたりはですね、行ってましたね「カラス」ツアー

僕行っていましたねー、最後の曲の「Myself」とかですね、
皆さん「JEEP」って曲があるんですけどこれもそうなんですけど、
長渕さんは実はギターがすごい上手いんです。


これはあまり語れてないんで、絶対強調しておきたいんですけど。
3連とかフィンガーピッキングみたいなことをやらせたら
僕が知る限りですよ、もしもっと上手い人がいたらすみません。

僕が知る限りは日本でも3本の指に・・いやナンバーワンと言ってもいいくらい
ライブアルバムとか夏祭りとかですね、

初期の名曲の「涙のセレナーデ」
これもおそらくニッポン放送でギターでつま弾いているバージョンがなんかを
たぶんYoutubeで聞いたんですけど、まあ上手いっすね!!

音が全く濁ってない!これは技術の高さですよ本当に!
で、もちろん例えばこの「西新宿の親父の唄」のように人生観を歌ってる
誰かを主人公にしてそれこそ「長渕剛芸人」みたいな中でも紹介されましたけど

「東京青春朝焼物語」なっていうのはあれは
おそらく新代田のことだと思うんですけどね。
♪井の頭線で(渋谷から)五つめの駅ってことで


私、ちなみにそれに自分を照らし合わせて、あの辺を歩きましたからね(笑)
あの当時あの辺りに住んでいたんで東松原って駅にそういう唄とか
あとは「STAY DREAM」とかね、皆さんにとってはアンセムになっている・・


アンセムと言えば、紅白歌合戦でも歌いました「ひとつ」という歌
これ震災以降の歌ですけど、本当に素晴らしい歌だと思いますね。

今ではライブでは皆で大合唱になりますけど、あういう歌が作れるっていうのも
ある種の経験とそして長渕剛さんの歌に対する真摯な思いっていうのも
照らし合わせてたんじゃないなと思うんですけど。

僕は敢えて今日はどういう切り口で行くか?って言ったときにですね、
今日オープニングで言いましたよね?
僕は読売巨人軍は巨人軍としてちゃんとあって欲しいタイプなんです。

巨人がある種の力、影響力を無くしたのは
明らかに2001年2年以降だと思ってます。
つまり松井がいなくなったときなんですけど、

そのときですね、あの巨人軍がですね
胸のビジターのユニフォームを「YOMIURI」に変えたんですね。

それは企業のものだと思うんです、だけど困るんです特に九州出身の僕にとってみたら
そこにある東京というのはあの東京なんですよ!
「とんぼ」の中で歌われる「大東京」の東京なんです!

やしきたかじんがいつもライバル視していた東京なんです。
それを巨人がやってくれなきゃ困るんです。
巨人は巨人たる存在であって欲しいっていう

それがあるからこそ成り立っている文化カルチャーがあるっていうことなんですね。
長渕剛さんはいつからかここにものすごく固執し始めるんです。
自分の出て来たところ、自分の出自、自分の原風景。

そして東京というものを自分の中で相対化することによって楽曲を作っていきます。
もちろん「とんぼ」もその中の1つだと思います。
これはですね、画期的なことだと僕は思っていますね。

やしきたかじんがそうであったり、大阪のアーティストさんがそうであったり、
武田鉄矢さんもそれに属すると思うんですけど、九州人のアイデンティティ

もっと言っちゃうと地方から東京に出て行く人のバックに流れる曲に
長渕剛さんっていうのは1つのBGM化して行ったような気がします。

だから僕が今日紹介したい曲はですね、更に更にその進化の先ですね。
自分の原風景の具体的な歌を歌うことによって皆の共通言語にしてしまう。
これ具体的に言うとですね、長渕剛さんだと「鹿児島」です。

鹿児島の原風景の歌を歌うことによって
それぞれの少年時代を想起させるっていう歌になっている。

つまり長渕剛の人生を歌ってる歌、少年時代を歌っている歌なのに
夢に向かって頑張っている、都会に出て荒波に揉まれながら挫折も覚えている
その人の歌にも転用できるっていう意味では

歌謡曲史上の中でも意外にこれは発明なんじゃないかな?
私は思ってる曲でございます。これ曲もまた良いんですけどね、

長渕剛さんの僕は個人的にはもっと好きな曲が
あるんだけどこれが長渕剛さんのいわゆる一番発明した中で
すごいものじゃないかな?と思っております、「いつかの少年」



大谷
鹿児島って薩摩藩じゃないですか?
薩摩藩ってすごくて言語に元祖が無いんですわ、方言に。
方言は実は作ったものなんです、暗号なんですよ徳川にバレないようにっていう。

怨念なんです、東京を倒すってことが怨念なんです。ずっと。
そのために言葉作っちゃった。

「示現流」っていって「チェストー!」って言って一撃必殺の技を作ったんです。
何百年も経って西郷隆盛が出て来てっていうのがあるんですよ。

まあなんか毎回無理矢理強引にくっつけるけどさ、
長州っていう藩の歴史が道重さゆみを作ったとか言ってたけど(笑)

本当にある種鹿児島っていう1つの場所から
そういう東京に行ったりする並々なる思い。

でも何だろうな?それってあの地方から何か夢を持って出て来ている。
これはたぶんメンタリティとしてはちょっと脊山さんには
理解出来ないものかもしれないけど、あるんだよね。

脊山麻理子(以下、脊山)
でもすごい意識されますよね、東京ってものを。

大谷
そうなんです、東京の人は全く思ってないのにね。

脊山
けっこうやっぱり出て来られた方の方が東京を知っていたり、
愛していたりするんですよね。

大谷
そうその通りなんです、でもそういう思いが原動力や
エネルギーになってる人っていうのはたくさん居るんじゃないのかな?っていう
そのときにやっぱり長渕剛さんの曲がかかるんじゃ無いかな?と思います。

「すべてが1秒ごとに意味深く進んでる 
水平線からどてっ腹に陽が昇る
今日と昨日とが激しく違うことを知った今
俺はKAGOSHIMAを突んざく波に捨てた」

捨てるんだ!という、染み入るようでした。
「いつかの少年」でございました。

(了)

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