今回は2015年5月12日放送「大谷ノブ彦 キキマス!」
「キキマス!ミュージックバトル」を起こしたいと思います。
東島衣里アナ(以下、東島)
さあここからは大谷さんとマキタスポーツさんのお2人がお題に沿ったシチュエーションでも選曲のセンスを競い合うこのコーナーです。「キキマス!ミュージックバトル」
さあ芸能界屈指の音楽通と言われます大谷さんとマキタさんのお2人に毎週お題にピッタリの楽曲を選んでいただいてセンスを競い合ってます「キキマス!ミュージックバトル」
大谷ノブ彦(ダイノジ:以下、大谷)
今日は難しいね、テーマが。
東島
はい、お題発表しますね。「あなたは田舎から出て来たばかりの大学1年生です。大学に入ってから駅前のパン屋さんのアルバイト知り合った沖縄出身の19歳の女子大生・喜屋武さんが5月病らしくめっきり元気がありません。
今まで3回しかしゃべったことがない彼女を元気づけるために彼女にさりげなく聞かせて元気づけてあげたいあなたはどんな曲を選びますか?」こんなお題ですね。ちなみに喜屋武さんは中目黒で1人暮らし、都内の私立大学の理工学部に通う今流行りの「リケジョ」です。好きなパンは「くるみパン」です。
マキタスポーツ(以下、マキタ)
凝りすぎだよ!だんだん懲りすぎるんだよ!
大谷
設定が細かいんだよな。さあこれはじゃあマキタくんからですか?
マキタ
はい、僕からいきましょうか?まあ5月病の喜屋武さんということなんですけれども、奇しくも僕1988年バブルの真っ只中でしたけども上京してきましてですね。5月に5月病になりました。
(参考リンク)
マキタスポーツが語る「東京に出てきて5月に『五月病』になったんです」
大谷
ああ、なったんだ!
マキタ
はい、もう本当今から何十年も前ですけれども。見事に5月に5月病になりましてですね、喜屋武さんの気持ち分かります。であのいろいろ考えましてですね。まあそういうふうに塞ぎ込んでしまったときによりよい曲というのを自分なりにいろいろ考えたんですが・・
自分の体験上、いろいろ考えた上でですね。塞ぎ込んでいるときにですね・・何ていうんでしょうかね?励まされるの嫌なんですよ。あのね、一番嫌なのが「頑張れ」って言われることね。
この「頑張れ」って言われることが一番嫌ムカつくんですよ。基本的に「ほっといてくれよ!」っていうのが・・ただ「ほっといてくれよ!」って言うんですけど「本当にほっとくなよ!」っていうのもあるんですね。
このね、どうにもならないようなワガママな気持ちっていうのが、これしゃばっ気というかあるんでその抜けきらないさ加減これが重要かな?と僕は思っています。
それでね、何ていうのかな?「頑張れ」とか言うわけじゃなくて、そばにいて馬鹿な話とか寄り添うような音楽があればいいと思いますね。まるで音楽に身を委ねて自由に誰からも教わったわけじゃないのに身体を揺らして3歳児のような音楽があればいい!
で、僕が目を付けたのが「ボ・ガンボス(Bo Gumbos)」という。これは1989年メジャーデビューですね。95年ぐらいまでまあ6年間くらいしか活動しなかった。そしてボーカリストのどんとさんというのがですね、後に37歳くらいで他界してしまいましてですね残念なことだったんですけれども。
僕は上京してきた1988年から89年にかけて「ボ・ガンボス」そして「エレファントカシマシ」岡村靖幸というですね。エピックソニーというレーベル出していたアーティストたちにずいぶん励まされました。
このアーティストたち3組に言えたことは、僕に「頑張れ」ということを一切言わなかった音楽をやってたんですね。勝手に自分の気持ち良い音楽をまあ狂気じみた世界というかですね、やってたんです。
その中でも1番突き抜けてた存在が「ボ・ガンボス」どんとさんだった。悩み果てて諦めてその先にある突き抜けるということが達成された音楽をやっていたのがこの「ボ・ガンボス」だったと思います。
「夢の中」という曲がありまして、「淋しいよって泣いてても 何ももとにはもう戻らない 欲しいものはいつでも 遠い雲の上」と。「くりかえす くりかえす いいことも やなことも」っていうね、ある種の諦念というか諦観というかですね、諦め。
これを歌ってはいるんですけれども、ちょっとわけの分からないことも歌ってるんですよ。でね、本当に突き抜けた先にある馬鹿馬鹿しさ、たぶんこの喜屋武さん「リケジョ」なので理屈っぽいと思います。理屈で世の中がなんとかなると思い込んでいる女だ!
そんなんじゃねえ!理屈なんてことはどうでもよくて、気持ち良い音楽に身を委ねればいいんだ!ということで僕は「ボ・ガンボス」の「魚ごっこ」という曲をプレゼントしてみたいと思います。
大谷
そっち!!「夢の中」じゃなくて!?
マキタ
違う!「魚ごっこ」聞きやがれ!
東島
お送りしてるのはボ・ガンボスで「魚ごっこ」
マキタ
魚になってすいすい泳いでいい気持ちと、お水の中に住んでいい気持ちというフレーズがあるんですけど。僕ね1988年に半年くらい引きこもりだった、半年間くらい風呂に入らなくて部屋に引きこもってずっと唇の皮をめくって暮らしてたんですよ。
で、89年から学校に行き始めたんです、また。行き始めたんですけど、行き始めたと同時に夜の街に進出するんです。歌舞伎町で水商売のバイトを始めるんですよね。そのときに自分の頭の中で流れていたのがこの「魚ごっこ」なんですよ。
あの「お水の中に入っていい気持ち」「お水」っていうのが水商売の「お水」。もうとにかく無駄なことを考えないで魚になってすいすい泳ぐように歌舞伎町という大海原でなんか生きていくというかな?無意識みたいな感じで生きていくというふうにちょっと思ってたんですけど。
そのときに頭の中に流れていた非常にサイケデリックなわけの分からない歌なんですよ、この歌って。いろんな解釈もできると思うんですけど。理屈じゃなく気持ちよさを歌にしたものじゃないかなと思って僕は喜屋武さんにプレゼンしました。
東島
さあではこれを受けて続いて大谷さんお願いします。
大谷
まずですね、この沖縄出身ということで沖縄ソングこれは絶対に選んじゃダメです!こんな3回くらいしかしゃべったことない奴に分かったフリして沖縄の曲言われることほど苦痛なことはないと思うんです。
だけど、やっぱり沖縄出身ということは1つポイントだと思って、僕の同期にガレッジセールっていう芸人がいましてですね、あのツッコミの方の川ちゃんがよく失踪してたんです。若手芸人時代ストレスが溜まると必ず川田が行方不明になってみんなで探して。
結果、いつも湘南の海を見に行っていたんですね。何するわけじゃないです、ずーっと海を見ていたんです。で、ここが沖縄とつながっているみたいなことを言うわけですよ。で、やっぱり沖縄の海って特別な意味があるので・・
今日は僕はですね・・これ偶然ですけど、どんとさんと同じ京都出身のシンガーソングライター・長谷川健一さんの「海のうた」という曲にしました。あの「キキマス!ミュージックバトル」ではリスナーの皆さんの知っている曲を書いた方が勝てそうなきがするんですけど、なんかそれも違うな?と思ったんです。
先ほどマキタくんも言った通りです。僕はね、応援歌は全然いらないと思うんですよ。こういうときにそういう物を聞いたところで人は鼓舞しないと思うんです。この「海のうた」という曲も「
生まれたら死ぬまでは生きるまでただそれだけ」という。
マキタ
おおっ!何かちょっと通じちゃってるんじゃない?
大谷
長谷川健一さんをフックアップというか世の中に引き出したのは「ASIAN KUNG-FU GENERATION」のボーカルの後藤くんが見つけ出して、今ジム・オルークっていう有名なプロデューサーと一緒にアルバムを作ったりしているような非常にシンガーソングライターの中では非常に京都ならではの独特の世界観を持った人なんですけど。
このサビではですね「海をみてた 邪な私を抱えて 不実の色の空さがした 男ならば女なら なくなればいいさ 違う何かにはなれない」っていう、自分はどんなことやっても自分にしかなれないっていうその諦観を海を見て悟るという。
「海のうた」というお題でこんなふうに空しさ、そして逆に勇気尽く。私もそうだったんです。5月のとき、なれない自分になろうとするから苦しいんです。自分が期待していた自分じゃないんです。東京に出て来たときに自分はもっとすごい奴だと思ってたのよ。
ところがですね、ことごとく打ちひしがれるんです。それでいろんな人のマネをするんです、それこそ竹中直人さんが好きなときは竹中さんの口調でしゃべるんです。で、誰かが言うんですハッとするやつが「お前、それ竹中さんのマネ?」って、「ハッ!気付かれてる!」って(笑)
今度はダウンタウンの松本さん、「お前、松ちゃんのマネしてる?」いろいろマネしてんの。でも最後に気付くんです。どんなに頑張っても僕は僕にしかなれないんです。僕でしかないんです。でもその諦観を受け入れたときがね、実ははじまりの合図なんですよね。
なんで、私はこういう歌こそ実は勇気の湧く歌だと思っております。今日はですね、皆さんの知らないおそらく聞いたことがない人がほとんどだと思いますけど、さっきの「魚ごっこ」も一緒だと思います、実は海ですからね。
喜屋武さんにはこの曲を聴いてはるか故郷の海を思い出していただきたい。長谷川健一さんで「海のうた」
東島
さあ、お送りしているのは長谷川健一さんで「海のうた」です。大谷さんの「海のうた」そしてマキタさんのボ・ガンボスの「魚ごっこ」、あなたならどちらの曲で元気づけられますか?
マキタ
全然違う曲になってるようだけど、テーマが実は同じ。
大谷
だからあのZARDの「負けないで」とか1番最初にバツですよ。
マキタ
僕もないね、別のときに歌うね。
大谷
むしろ元気なとき歌う(笑)勝ってるときに歌いたい。
(中略)
東島
ということでリスナーの皆さんの支持を集めたのは?今日はこちらです。
大谷
ああ、ありがとうございます!
東島
というわけで長谷川健一さんの「海のうた」が。
大谷
でもいいでしょ?長谷川健一さん。いいシンガーソングライターじゃない?それを紹介できただけでも嬉しかったんで。
(中略)
東島
でも被らないながらも何か共通するところが必ずありますよね、毎回。
大谷
今回に関していうと「頑張れ」とかなんかその勇気づけられる曲っていうものが人に寄り添っていくとはあんまり思ってないっていうことだね。
マキタ
だから今このテーブルありますけど、テーブルの上では口角泡飛ばしてこうやって議論するようにですね、ケンカしているじゃないですか?でも足の方で足絡め合ってますから、大谷くんの方で足同士を絡めてますから。
大谷
そう、指の間と間に指が(笑)
マキタ
ずっとから絡め合いながらしゃべってますから、リスナーの皆さん!
大谷
「嫉妬してる」なんてことを言いながら僕はマキタくんの本を10冊買うからね(笑)
(了)
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