今回は2017年11月27日放送「大竹まことゴールデンラジオ!」
オープニングの一部を起こしたいと思います。
大竹まこと(以下、大竹)
くらたまさんは何か今日はちょっと話したいことがあるとおっしゃってたけど・・。
倉田真由美(以下、倉田)
そうなんですよ、すごく考えさせられるお話だったんですけど。私の長年の友人の中村うさぎさん、作家のね。身体を悪くしてだいぶお休みになったりしてましたけど。
大竹
一時は生死をさまよったよね。
倉田
でもここ最近はすっかり元気になられて、とはいえまだ歩くことはまだあんまり杖をつきながらでないとできないんですけれども・・リハビリもしないし真面目にね。
大竹
しないんだ。
倉田
しませんね!あの彼女は。「しなさい!」って言われててもしないんですけど。その彼女のトークショーに私もゲストで呼ばれて彼女が話していたことがとっても考えさせられる話だったんですけど。
うさぎさんのご両親ってもう80代かな?お母様の方が認知症が始まってしまって、すぐ理不尽なことで怒るんですって。症状でありますよね?例えばもう「私のお金を盗った」とか「お財布隠したでしょ?」とか。
大竹
猜疑心(さいぎしん)も強くなる時期がありますからね。
倉田
そうなんですよね。それでそのうさぎさんとご両親って一緒に住んでないんですよね。もう何十年も一緒に暮らしてないんですけど、ときどき会っていて。
その会ったときにうさぎさんに対してものすごく理不尽なキレ方をしたらしんですよ、お母様が。うさぎさんも分かってるから病気だって最初は穏やかに話していたらしいんですけど、なかなかそれがもう「辛抱できん!」みたいな感じの。
「言いがかりにも程がある!」みたいな。しかも割と言葉は達者なままのようなので分かってはいるけど言い合いみたいになってしまって。それお母様の方が怒っちゃって暴れちゃってどうしようもなくなったらしいんですね。
で、そのときにお父様が「分かった分かった、よしよし」ってお母様をギュッて抱きしめたらしいんですよね。そんなことをしているのを1回も見たことがない。長い人生、父親が母親を抱擁するなんて性格的にもあり得ないし「もうこんなこと今まで見たことがない」っていう・・
そのギュッと暴れて怒り狂ってるお母様を抱きしめるお父様を思ったらしいんですけど・・で、これ愛の話としてこういう話をしたんじゃないですよ。話にはまだ続きがあって。
お父様に認知症のお母様について話したときに「あれも俺の試練だと思ってる」って言われたらしいんですよ。うさぎさんのお父様って大手の商社マンでエリートサラリーマンだったんですけどもう退職されて・・それで退職されてからクリスチャンになられて、教会に毎週通ってるらしいんですよね。
大竹
商社マンでいらしたころは入信はしていなかった?
倉田
そこまで熱心には・・ただキリスト教的な考え方っていうのはずっとあったみたいですけど。仕事を辞められてから毎週教会に行くようになって、そのうさぎさんの言っていた話が愛の話としてじゃないんですよ。
お父様が今支えになっている本当に理不尽なことがすぐにキレたり大変な奥様を世話している。その支えになっているのが宗教だっていう。愛じゃなくて宗教が支えになっていて、その宗教を必ずしも礼賛するわけではないけれど。
でも彼にとって宗教が救いになっているんだ・・宗教があるからそこで暴れるお母様を抱きしめたり受け入れることができている。そうやって、ともすれば本当に倒れたくなるほどの大変なことじゃないですか介護って特に老老介護なんて。
まあ老老じゃなくても大変だけれども介護は。そのときに支えになるものが愛情だったら一番もしかしたら良いのかもしれないけれども、必ずしも愛情じゃなくても支えてくれるもの?それがそのお父様の場合は宗教なんだけど。それがあるとすごく楽になるんだっていうお話をされていて「うーん、なるほど・・」と思って。
大竹
だから「試練」っていう言葉を「これは私にとって試練だ」っていうふうにおっしゃったわけね。まあ愛の話に・・たぶんなったと思われるのはそれもちょっと違うっていうふうにお父様は思われたんだろうね。
倉田
そうだと思いますね。
大竹
日本人の人は無宗教が多くて、俺は本当に思うのは世界でもこの国でも大きな1つの緩やかな宗教があったらなあといつも思ってるんだけどね。ただ宗教も先鋭的になって分裂を繰り返していたりするわけだよね。
聖地を巡って争ったりするわけだよね?そこが人間的なんだろうけども、なんか1つの大きな緩やかな・・だからそういう意味では日本は豊かな感じなんだよね?まあ八百万の神だからね。良いときだけちょっと信じて、結婚式はキリスト教で挙げて。
倉田
まあ自由ですよね。それで仏教のお墓に入ったり。
大竹
それで正月には神社に行ってね・・何してるんだっていう感じはするけども(笑)
そのもうちょっと年寄りの認知症が進んだり、それから猜疑心が強くなったりっていうことを個人的に受け止めるんじゃなくて世の中で認知症の症状とかたくさんもっと分かって「こういうことなんですよ」っていうのも必要だよね?
倉田
もうちょっと広く知られることは大事ですよね。
大竹
いやー考えさせられる話で。
倉田
なんか介護の話っていうと、どうしても愛の話みたいな感じになるけれど・・。
大竹
まあ今の話のように正直現場は愛だけじゃやってられないでしょう。
倉田
そういう方もいっぱいいると思うんですよね。
大竹
くらたまどっか宗教に入ろうかな?とか思ったの?そういうわけじゃないの!?(笑)
倉田
違いますよ!私は全然、何も無宗教のままだけど(笑)
大竹
いやでも自分がそういうふうになったときのことを考えて・・
倉田
違いますよ、私は全然無宗教なままだけど。
大竹
でも自分がそういうふうになったときのことを考えて・・
倉田
でもだから何かやっぱりその自分の信念なり支えになるもので行動するんだと思うんですよね。なんだろうな?その対象に対する愛じゃなくても例えば愛する子どもに迷惑を掛けたくないとか。なんか動機はいろいろ人それぞれあっていいと思う。
太田秀明アナ(以下、太田)
たぶん自分を支えてくれる何らかの理由はみんな一生懸命探すんだと思うんですよね。愛情だったりとか過去のパートナーに対する罪滅ぼしたっだりとか、社会的な責任感だったりとか、宗教的な考え方だったりとか。
それで見つけて支えられる人はそこになんとか縁(よすが)を持って頑張るっていうことができるっていうのは良いのかな?というふうに思いますけどね。それが見つからないと苦しんだと思うんですよね。
倉田
そうですよね、必ずしも見つかるっていうもんでもないですからね。こうすれば見つかるってわけじゃないし。
大竹
老老介護だとか介護離職だとか特別養護老人ホームだとか、それからお金もかかるしね。若者の問題も別にあるとして、年寄りもなんかアレだよね?周りの環境は厳しいじゃない?
まあ俺なんか汚辱にまみれた清濁併せのんで今日まで来たわけじゃん?いろんな良い面も悪い面も、俺自身にもダメなところも悪いところもあったわけじゃない?過去を反省するじゃん?
それで近ごろ本当に思うことはね、この場所にいるからか?こうやってラジオで話しているせいだとかそれはよく分からないけれども。なるべく偽らずに中村うさきさんじゃないけども清廉な方に近づきたいなと。
そりゃ行かないよ?オムライスを食えば「あいつの方がデカいのはなんでだろう?」とかね。ほんの大したことじゃないのに取っ替えてみたら大きさが一緒だったとかね。実際にそんなことをやっているわけだ俺は。「ちょっとオムライスを交換しろよ!お前のと」みたいことをやってるわけだ。
1つのテーブルで争ったりもしつつ、ただなんか大命題として俺もくらたまと一緒で神様はいないわけだから。何か自分の中で決めるのかねえ?なんかこうちゃんと神様じゃないけど、もう1人の自分はいるよね?
倉田
そうなんですよ!神は見てないけど、自分は見てますから。
大竹
神は見てないけれども、もう1人の自分がいるわけだよ。だからもう1人の自分がそれは例えばゴルフのスコアでも、あのときの発言でも何でも良いけど「お前、ああ言ったじゃないか!」と。それをちゃんと全うできるのか?と。「あのときあんな格好良いこと言っといて!」っていうもう1人の自分はいるよね?
倉田
いますね。
太田
まあそれでいいんじゃないですかね?ひょっとしたらそういうことなんじゃ無いですか?第三者の目があるっていうことが宗教だったり神だったり仏だったりっていう。
大竹
いやだけどね、この年で思うけどやっぱし自分の周り半径3メートルぐらいしか見えてないわけだ。そんなに遠くが見えるわけじゃないからね。なるべく半径3メートルで正しいことでも遠くから見たら「お前、完璧に間違ってる」ってこともあるわけだからね。その辺のことを、その中村うさぎさんはそういうことを見て話されるのもあの人やっぱし清廉だよね?
倉田
あんなに正直な人、私は知らないです。
大竹
だからあんなに苦しんだんだよねえ?自分が間違ってないかね、ちゃんとデリヘルでもなってみたんだもんね。
倉田
そうですね、いろいろ体験されました。
大竹
そういうことも体験しつつ、ものを書いていこうとする・・あの人を支えている押している大本のものが・・いや世間には波風を立ててるよ。立ててるけど、俺なんかにはとっても良いなと。まあ憧れとしてね、できないけども・・思うよね。
倉田
私もそう思うな。本当に正直な人だから。必ずしも正義の気持ちで正直っていうことではないのかもしれないけど。でもデリヘルのときは本当にいろんな方にいろいろ嫌なことを言われたらしいですよ。そんなことを・・特に男性に。
大竹
そこはもう分からないところだからね。ちょっと難しい話だけど・・・すぐ忘れちゃうんだよね。こんな良い話したのにな。でもほんのちょっと心の隅に残しておきながらお仕事しましょうか。
(了)
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